【西川薫】札幌MF小野伸二とレバンガSF桜井良太 今季で引退するレジェンドの不思議な共通点
札幌市を本拠地とする2つのプロクラブの〝顔〟が2023シーズン限りでユニホームを脱ぐ。J1コンサドーレ札幌のMF小野伸二選手(44)と、B1レバンガ北海道のSG/SF桜井良太選手(40)だ。
静岡と三重、共に東海地方の出身
2人に共通点は多い。小野選手は静岡県、桜井選手は三重県と東海地方の出身。高校年代から全国で脚光を浴び日本代表でも活躍。選手生活の晩年は、長年の〝勤続疲労〟の影響でかつての様なプレーとは遠かったかもしれないが、長年の功績に心から拍手を送りたい。
足かけ8年赤黒のユニホームでプレー
小野選手は2014年に札幌へ移籍。途中、琉球に移籍したことはあったが、今季まで足かけ8年赤黒のユニホームに袖を通してきた。9月27日の44歳の誕生日に「39年間もの間、僕の相棒として戦ってくれた〝足〟がそろそろ休ませてくれと言うので、今シーズンを最後にプロサッカー選手としての歩みを止めることを決めました」と、自身のインスタを通じて引退を表明。かつて所属した海外のクラブからもメッセージが届くほど世界中から愛されたサッカー小僧だったのかと改めて感じた。
チーム創設時からの功労者
桜井選手は6月22日、クラブを通じて引退を発表した。07年に前身であるレラカムイ北海道に移籍。折茂武彦代表(53)と一緒にゼロからチームを作り上げてきた功労者です。数年前から左足首を何度も手術し、くるぶしは変形、折れた骨は以前の様にくっつかないままだといいます。会見では「何シーズンも前から〝引退〟ということはよぎっていたのですが、昨シーズンプレーしていた中で次のシーズンで『引退できるな』という気持ちになれた。今は悔いなく、すがすがしい気持ちで引退を迎えられると思っています」とラストシーズンへの意気込みを語っていました。
初対面は桜井が大学生の時
Bリーグ開幕前の10月4日、桜井選手にインタビューする機会があった。トップアスリートの2人。年齢も近く、北海道でプレーしていた期間も重なり、競技の枠を越えて交流などもあるのかと聞いたところ「北海道ではあまりないですけど、大学生の時にたまたまお会いしたことがあります」と、思いもよらぬ返事が返ってきた。
第1印象は「この人絶対にいい人だ」
「小野選手は伝説的なプレーヤー。僕が東京の赤羽にあるナショナルトレーニングセンターで、代表候補の合宿が終わって疲れてフロントでタクシーを待っている時、当時海外でプレーしていた小野選手がオフシーズンで日本に戻ってきていたんですね。リハビリか何かで来てたんです。バーって車を止めてサーッと入ってきて。『小野伸二だ!』って。そしたらすごく明るくあいさつしてくれて、この人絶対にいい人だって勝手に思った」と、若き日の思い出を懐かしそうに話してくれた。
引退試合は共にシーズン最終戦で古巣相手
長い時を経て、北海道でユニホームを脱ぐことになったのも何かの縁。しかも現役最後の試合は2人ともホームでプロデビューした古巣との対戦が予定されている。小野選手は12月3日の浦和戦。桜井選手も24年5月4日にA東京と対戦。果たして、こんな偶然があるだろうか? 北海道のメディアの端くれとして現役最後の戦いに挑む2人の姿を見届けたいと思う。