エース上沢 メジャー契約、先発にこだわらない 背中を押された有原の言葉とは
実績十分も、あるのはハングリー精神のみ
ポスティングシステムを利用し、今オフのメジャー移籍を目指す日本ハムの上沢直之投手(29)が19日、秋季練習中のエスコンフィールド北海道で取材に応じ、メジャー契約や先発起用にこだわらず、交渉していく意向を示した。日本での実績に固執しない。プライドも捨て去る。ハングリー精神を携え、海を渡る覚悟を決めている。
プロ入り時とリンクする心境
ドラフト6位指名を受け、プロの世界に飛び込んだ18歳の頃と気持ちがリンクする。漠然とした不安はあるが、未体験の世界だからこそ、ワクワクする。「自分で頑張ってつかみにいく。それも面白そうだなと。僕はもともとそうだった。日本のプロ野球に入った時から」
野球人生の岐路にも泰然自若 肝が据わる叩き上げ
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無名に近かった高校球児は、長い下積みを経てエースになった。選手生命に関わる大けがも乗り越えた。ある意味で、苦労が染みついている。「どのチームがいいとか、ない。必要とされたチームで、必要とされたポジションで投げられたら」と持論を展開。任された持ち場で貢献し、信頼を得るつもりで「先発ができたらいい。最初はそれができなかったとしても経験。できるようになるまで、しっかり結果を出せばいい」と腹をくくっている。
すべては自分の力次第 「行って自分で何とかするのが、向こうのやり方」
郷に入れば郷に従う。マイナーで、もまれることにも抵抗はない。「メジャー契約が一番いいですけど、スプリット契約とか、いろいろあると思うし、メジャー契約じゃないと話を聞かないということはない。行って自分で何とかするのが、向こうのやり方だと思う」。失敗も挫折も全てが人生の糧になると、踏んでいる。
海を渡った元チームメート 今も胸に残る経験談
2020年オフには日本ハムの先輩だった有原(現ソフトバンク)がポスティングを利用し、レンジャーズに移籍した。2シーズンを戦い、結果を残せずにNPBに復帰したが、聞き出した本音が耳に残っている。
「有原さんがすごい楽しいと。興味を引かれたし、なおさら、思いが強くなった。生活も楽しかったし、野球も面白かったよと。苦労しても、そうやって言えるということは―」。舞台に立った者にしか分からない魅力が、きっとある。上沢は待ち受ける現実を直視し、新しいストーリーを紡いでいく。