とわの森で初陣初勝利となった前田康晴監督が男泣き 1年生エース貞尾陽光が1失点完投【秋季全道高校野球】
■秋季全道高校野球大会第3日(10月20日、札幌ドーム)
▽2回戦 とわの森5-1札幌大谷
創部34年目のとわの森が、3季通じて北海道大会初勝利を手にした。秋からエースナンバーを背負った貞尾陽光投手(1年)が、右のサイドスローから120キロ台の角度のある直球と90キロ台の変化球を軸に、自身最長の9回を1失点完投。打線は四回2死二、三塁から5番・堀内亮太左翼手(1年)が、決勝の先制2点打を放つなど、5点全ての得点を2死から奪う粘りと勝負強さを発揮。昨夏の甲子園メンバーが残る強豪をなぎ倒した。
甲子園に出場した帯広農業を退職して就任2年目
前田康晴監督(47)が、とわの森での全道初勝利に男泣きした。就任2年目。4季目の挑戦で初の全道大会へチームを導き、いきなり勝利を挙げた。試合後は開口一番、「こんなにうまくいくとは思わなかった」。これまでの苦労が頭をよぎり、言葉を詰まらせた
緩急を駆使した貞尾が自身最長の9回1失点
先発の貞尾に剛速球はない。代わりにホームベースの幅を目いっぱいに使い、相手左打者のインコースをズバズバつく思い切りのある直球と、全道から解禁したカットボールとチェンジアップを駆使。球速差は30キロ。緩急の効いた投球で、三回までは毎回得点圏に走者を背負うも決定打は許さずに試合をつくった。これまで公式戦は6回が最長だった。「後ろにもピッチャーがいたので、とにかく自分の投げる分を投げ切ろうと思いました。良くて7回とか」と、投球に集中した。
2年・松永から直前にチェンジアップ習得
チェンジアップは以前から練習していたが、試合で投げられるレベルではなかった。松永弘樹投手(2年)に握り方を習った。ワシづかみから、人さし指と薬指で挟む握り方にチェンジ。大会開幕直前の練習試合で「試してみてうまくいったんで、大会でも使うしかない」と、実戦投入を決意。「ぎりぎり間に合った。真ん中にワンバンで落とすイメージで投げているので、左右どっちにも効くと思います」と、さらに投球の幅が広がった。
同期の堀内が先制の2点二塁打を放って援護
打線は三回までパーフェクトに抑えられていたが、四回に目覚めた。2死二、三塁で、5番・堀内が左翼手の頭上を越える先制の2点二塁打。堀内は昨夏、新琴似リトルシニアでジャイアンツカップ4強メンバー。「新聞を見たら、(札幌)第一の半田くんとか、北星(大附)の畑とか、友達が打ったり投げたりして、自分も負けられない気持ちで今日の試合に臨みました。(決勝打は)ちょっと上がっちゃったかなと思ったけど、抜けてくれて良かったです」と、ライバルたちの活躍に負けないような活躍で、同期のエースを強力援護した。
貞尾投手は四回以降も快投を継続。七回に1死一、三塁から犠飛で1点を失ったが、前田監督から「最後までいくから、その気持ちで」とマウンドを託されると、八、九回は安打を許してもホームは踏ませず。最少失点の投球に「札幌ドームは広い。向こうは長打を打つチームだと思うけど、うまくフライを打たせていたので良かったと思います。点数は90点。無駄な四球とかがあったので、完璧は求めてないけど、そこを直せれば」と合格点を与えた。