知内が札幌第一に3度追い付き逆転8強 スタメン唯一の1年生・渡邉逢人が札幌ドームで〝凱旋〟サヨナラ打【秋季全道高校野球】
■秋季全道高校野球大会第4日(10月21日、札幌ドーム)
▽2回戦 知内4-3札幌第一
九回2死二塁から右翼線にタイムリー
2年ぶり10度目出場の知内が、3度のリードを許すも諦めず食らいつき、劇的サヨナラで強豪を撃破した。1点ビハインドの九回1死三塁から相手投手の暴投で同点に追い付くと、最後は2死二塁で、9番・渡邉逢人遊撃手(1年)が右翼線へはじき返すと、二走が一気に生還。2020年以来の8強進出を果たした。
歓喜の輪にダイブ
スタメン唯一の1年生が大仕事をやってのけた。サヨナラ打を放った渡邊はホーム付近で待つ歓喜の輪に飛び込んだ。「打ったのは、真っすぐの真ん中低め。気持ちで打ってやろうって(打席に)行きました。来た球を強く叩くイメージで、まっすぐを待ってました。支部大会の決勝でも同点打を打っていて、それよりも良い気持ちでかえって来られたかな」と喜んだ。
同校OBのヤクルト坂本拓己投手に憧れ プロ目指して知内へ
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渡邉は札幌市出身。地元・札幌ドームでの〝凱旋試合〟となった。殊勲の大活躍に「もう自慢したいぐらい、良い経験」と声を弾ませた。昨夏、エースとして甲子園まであと1勝まで勝ち上がり、ドラフト4位でヤクルト入りした同校OBの坂本拓己投手(19)に憧れる。「自分もプロ目指して入りました。親元を離れるのは初めての経験なんですけど、仲間と思う存分、野球ができるんで良かった」。渡邉のほかにも、江別や、岩見沢からも入部希望者が集まっている。
札幌の遠征の練習試合で失策が続き 日常生活から見直し
どん底からはい上がってきた。昨秋から3季連続で北海道大会出場を逃した。新チーム発足後初の札幌遠征の練習試合では、東海大札幌高に1-10、札幌大谷に4-6で敗れた。主将の米山功起捕手(2年)は「ミスが出たあと、ボロボロとエラーが続いたり、互いにカバーし合えない状況だった」と、チーム状況は深刻だった。
このままでは、戦えない。地元に帰ってからは1週間ほどグローブやバットを使わず、体力強化や日常生活など一見、プレーとは関係ないように見える事から見直した。
野球以外の成長で助け合いの精神
その後、4泊5日の東北遠征を行い、岩手・盛岡大付などと10試合を消化。秋の大会前に再び札幌遠征を行い、東海大札幌高とのリターンマッチでは4-0でリベンジに成功。米山主将は「そういう野球以外の部分で成長して、ミスが出てもしっかりカバーできるような野球ができて、勝ち切れたのかな」とチームの成長を感じている。
この日のミスもしっかりカバー
この日の試合でも、同点の九回無死二塁の守備で、本塁ベース前への犠打を捕手の米山主将が三塁へ悪送球して、一時勝ち越しを許した。吉川英昭監督(47)は「あれも織り込み済みで、ああなったらどうするかは言ってきた。秋は夏とは違うと思いますけど、まじめにきちんとやれたところが、勝つチャンスをもらえるのかなと思ってる」。あらかじめミスを想定しておけば、切り替えも早く、傷は少ない。その直後、知内ナインは、見事に劇的勝利につなげてみせた。
起きてることが全部ベスト
次の相手は別海。準々決勝唯一の公立校対決だ。吉川監督は「3年生がちょっと早く負けてしまったので、負けたこと自体は良くないことだとは思うんですけど、起きてることが全部ベストだという考え方でやっている。この夏の3年生の負けもベスト、それがあったから今日があるのかな」と、全ては必然と捉えている。
チーム一丸がやっぱり強い
渡邉は知内に入学するまでは、勝つチームが強いと思っていた。だが、今では「チーム一丸となることが、やっぱり強いチーム」。新チーム45人、団結力では絶対に負けない自信がある。まずは4強進出を成し遂げ、この秋の主役に躍り出る。