北海がクラークにリベンジで夏春連続まであと2勝 1年生右腕・松田収司が1安打0封【秋季全道高校野球】
■秋季全道高校野球大会第5日(10月22日、札幌ドーム)
▽準々決勝 北海10-0クラーク※七回コールドゲーム
ライバル対決制し4強一番乗り
今夏の甲子園代表校対決は、北海が10-0でクラークに圧勝した。今夏の甲子園メンバーが残るクラーク打線を、北海の松田収司投手(1年)が7回わずか1安打に抑え自身初の完封勝利(七回参考)。打線も2試合連続の2桁安打で4強一番乗りを果たした。
三塁許さず七回コールド「まだいけました」
七回2死。最後の打者を104キロのカーブで空振り三振に打ち取りコールドゲームが成立。松田がスコアボードに「H」ランプを灯されたのは、四回に右前打を許した1度だけだ。三塁はおろか、得点圏に走者を背負ったのも一回と三回の2度のみ。「今日はカーブが調子良くて、緩急で空振りが取れたので良かったです」。球数は7回で95球。自身最長イニングの投球にも「まだいけました」と涼しげな表情を浮かべた。
訓子府中時代は捕手9割、投手1割
この春卒業した訓子府中では投手と捕手を兼任。といっても「9対1で捕手でした」と松田。ブルペンにもほとんど入ったことはなかった。複数の強豪校から誘いがあったが「一番甲子園に行っていて強かった」と、夏の甲子園全国最多40度を誇る名門の扉を叩いた。
平川監督に投手の才能見出され
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本人は「捕手で北海に来たつもり」だったが、残り1割の才能を平川敦監督(52)は見逃さなかった。当初は〝二刀流〟で練習するも、ゴールデンウイークを過ぎた頃に「キャッチャーは難しいんで、だったら投げるだけでピッチャーをまずやって」と指揮官から投手専念を伝えられた。
今夏の甲子園で1年生ながらベンチ入り
潜在能力を見出され、今夏の甲子園では1年生ながらベンチ入り。大阪滞在中に熊谷陽輝投手(3年)からスライダーを教えてもらった。「握りとか、リリースの仕方。球速が110キロぐらいだったのが、110キロ台後半に上がった」。
直球の回転数はプロ選手並み
入学時にラプソードで計測した数値は約2500回転とプロ野球選手並み。元から直球の質は高かったが、当初は制球がまとまらずボールは高めに浮いていた。それが、秋の札幌支部予選の札幌日大戦後から激変した。大石広那捕手(2年)は「こんなにちゃんと試合を作れるとは思ってなかった。ストライクが入ることが一番良くなってきた」と成長に目を見張った。平川監督も「甲子園を経験して帰ってきて、練習試合、オープン戦、支部、投げれば投げるほど、どんどん良くなっていくところに来てると思うので、今は放っておいてもいい状況じゃないですかね」と、まだまだ伸びしろは十分だ。
20年秋以来の全道優勝へ
ソフトバンク入りした木村大成(20)らを擁して20年秋に12度目の全道優勝。それ以降、2年連続で選抜甲子園への道を立ちふさいでいた難敵をついに倒した。大石捕手は「夏の甲子園でも戦いたかった。絶対勝つぞって気持ちは1年間ずっとありました。神宮、選抜と行けるように頑張っていきたい」。リベンジを果たし、もう思い残すことはない。
先輩に「勝ったぞって報告したい」
この日は、痛めていた右肘を手術したばかりの熊谷ら3年生がスタンドで後輩たちを応援。登板前夜、同じ下宿で暮らす熊谷が松田の部屋を訪れ「勝てよって。負けたら3年連続だからな」と、ねじを巻かれた。しっかり約束を果たした松田は「勝ったぞって報告したい」と胸を張った。
エースナンバー目指し日々成長
この秋の背番号は「11」。投手陣にエース不在という意味で、背番号1は主将の金沢光流一塁手(2年)がつけている。「背負いたい気持ちは常にあります」ときっぱり。3年ぶりの頂点まであと2勝。「次も失点しないように、味方をカバーできるように投球できたら」。いま一番の成長株の右腕がチームを甲子園に連れて行く。