部員16人の別海が知内との激闘制し全道初4強 エース堺暖貴が2試合連続完投勝利【秋季全道高校野球】
■秋季全道高校野球大会第5日目(10月22日、札幌ドーム)
▽準々決勝 別海4-3知内 ※延長十回タイブレーク
3季通じて初の4強入り
別海がタイブレークの末に4-3で知内との公立校対決を制し、3季通じて初の4強に名乗りをあげた。1-1で迎えた延長十回無死満塁から、初戦の苫小牧中央戦で九回にサヨナラ弾を放った7番・中道航太郎捕手(2年)が左翼線を抜ける走者一掃の3点三塁打。2試合連続の先発登板となったエース・堺暖貴投手(2年)が、その裏1点差まで追い上げられたが粘りきり釧根支部から3試合連続完投勝利。25日の準決勝では今夏の南北海道大会を制した北海と対戦する。
ピンチでも勝利後もクールフェース
堺は延長十回無死満塁から犠飛とスクイズで1点差に追い付かれ、なおも2死二塁の同点のピンチも表情に焦りの色は見せなかった。最後の打者を三振に打ち取り、中道捕手が両手を高くつき上げてもクールフェースのまま。「いつも投げてる時に感情を表に出すタイプではないので、そこはいつも通り冷静に。あいつがすごい必死で頑張ってくれて、最後もあいつが決めてくれた」と、頼りになる女房役に感謝した。
ブラスバンドも駆けつけた
全道初勝利の反響は大きかった。島影隆啓監督(41)は「別海町が本当に盛り上がってくれて、いろんな人とかOBからすごい連絡をもらった。町も盛り上がってるよって言ってくれたり、良かったです。これでまたさらに盛り上がってくれてると思うので、このまま勢いに乗っていきたい」。この日はブラスバンドも応援に駆けつけ、これまで以上にスタンドから選手の背中を押した。
少人数の苦労、攻守交代時はベンチが空
人数が少なくても勝てることを再び証明した。試合前、指揮官は「北海道の端と端の公立校対決だぞ」と選手を鼓舞。タイブレークの末に最低目標に掲げていた4強入りを果たし、「本当にきた。少人数で全道大会を戦うってほんとに大変で、他のチームの数倍負担かかってるんですよ」。攻守交代では打者の準備や捕手のプロテクター着用の補助などで一瞬ベンチが空っぽになることもある。それでもベンチに入れない3人のマネジャー含め全員が人一倍汗を流して試合に臨んでいる。
春はいとこが甲子園初登板
少数精鋭だ。堺投手が別海中央中3年時に、全国中学に出場したメンバーが5人。堺は投手兼一塁手だった。母方のいとこで正捕手で投手も兼ねていた佐々木広太郎投手(2年)は仙台育英に進学した。今春の選抜甲子園では3回戦の龍谷大平安戦で聖地初登板を果たした。堺は家族と甲子園まで応援に行った。「中学までずっと一緒にやってきたやつが甲子園で投げているってのは、すごい自分も刺激になりますし自分もやんなきゃなっていうモチベーションにもなった。選抜を見に行ったのはすごいいい経験になりましたし、そこから自分の頑張ろうって気持ちにもつながった」。
「(春は)代わりに甲子園のマウンドに立てたら」
全道初戦の前にも同期のグループラインで「ガンバレ」と応援メッセージが届いた。「勝った後も『おめでとうLINE』してくれましたし、昨日の夜も頑張れって言ってくれました。あいつはもう負けてしまったので、代わりに自分がもっと頑張って甲子園のマウンドに立てたらいいなと思う。そこはお互い刺激し合って頑張りたい」。今は遠く離れた幼なじみの存在を力に変換し、残った仲間と戦い抜く。
21世紀枠候補有力も、優勝して甲子園に
これで北海道高野連からの21世紀枠候補の推薦にまた一歩近づいた。だが目指すのは実力での出場、もちろん優勝だ。島影監督は「北海道のチャンピオンチームですので。誰がどう考えても、北海が勝つと皆さん思っていると思う。力の差は正直あると思うけど、それでも別海らしく、最後の最後まで全力疾走して全員で一つになって戦う。ここまで来たら勝敗はわからないので、とにかく頂点だけ目指して釧根のすべてのチームの思いにそってやっていきたい」。部員16人の生み出すドラマにはまだ続きが待っている。