別海の快進撃がストップも 公立校唯一の4強で21世紀枠候補選出に希望【秋季全道高校野球】
■秋季全道高校野球大会第6日(10月25日、札幌ドーム)
▽準決勝 北海6-1別海
一時は1点差に迫るも終盤に引き離される
全道初勝利から一気に公立校唯一の4強まで勝ち上がった別海がついに敗れた。終盤に1-6と引き離されたが、今夏の甲子園出場の北海と対等に渡り合い、一時は1点差に追い付くなど部員16人が一丸となって最後まで戦い抜いた。
ブラスバンド10人、保護者、OBがスタンドから応援
三塁側の内野スタンドには、試合前日に約10時間かけて応援に駆けつけたブラスバンド10人と保護者やOBらが大声援を送った。残念ながら決勝には届かなかったが、試合後は島影隆啓監督(41)が「ベスト4の壁というか、ここまで来ると一つのミスも許してもらえない。今大会初めてのエラーが失点につながったり、記録に残ってない走塁のミス、送球のミスがあった。この大舞台でそういうミスをしているうちは勝てないのかなと改めて思いました。良い経験、良い勉強になったんじゃないかな」。悔しいさが大きいほど、強豪との対戦が手応えのあるものだったことを裏付けた。
一回に失策からの連打で2失点
一回、いきなり2点のビハインドを背負った。1死からの内野フライを、千田涼太二塁手(2年)が一度はグラブに入れたが、落球。ここから連続安打で2点を失った。
打線は北海の先発・新屋敷寿也投手(2年)の前に七回まで無得点。八回にようやく一矢報いた。先頭の中道航太郎捕手(2年)が、右前打で出塁すると、後続が連続で四球を選び無死満塁の大チャンス。1死後、2番・影山航大遊撃手(2年)の内野ゴロの間に1点を返し、1点差。なおも2死一、二塁と攻め立てたが、追加点は奪えなかった。
強豪相手にエース堺「自分が持っているものを全てぶつけてやろう」
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先発は3試合連続でエース・堺暖貴投手(2年)。初戦の苫小牧中央戦、準々決勝・知内戦の2試合で265球。「相手が、北海さんっていうすごい強豪校だったので、自分がどこまで通用するのか、自分が持っているものを全てぶつけてやろうという気持ちでマウンドに向かいました」と、中2日ながら万全の状態でマウンドに向かったはずだった。
味方が八回に1点差に追い付いてくれた直後、堺投手の右腕が限界を迎えた。先頭に四球を与えると、1死一、三塁からスクイズで追加点を献上し、その後3者連続四死球で押し出し。七回途中、144球で降板した。救援した立蔵諄介投手(1年)も2点打を浴びて、この回4失点と突き放された。島影監督は「彼は責められない。1人で踏ん張って、頑張って投げてくれた」とねぎらった。
二回から七回までは無失点
収穫は大きかった。堺投手は二回から七回まで北海打線を無失点と沈黙させた。「最初と最後、粘れなかったのは自分の弱さだけど、中盤は自分のペースで投げることができたし、自分のボールが強いチームでも通用するんだというのを感じることができた」。2試合連続コールド勝ちで勝ち上がってきた強豪を被安打5に抑え、確かな手応えをその手に掴んだはずだ。
堺「自分のピッチングを貫く力を身に付けていきたい」
公立校唯一の4強進出で、来春の選抜甲子園21世紀枠候補へ推薦される可能性が大いに高まった。選出されるにせよ、されないにせよ、それだけで年明けの発表まで大きなモチベーションを維持したまま部活動に励むことができる。堺は「自分の気持ちの弱さが、この試合で少し出てしまった。どんな環境、どんなピンチの場面でも、自分のピッチングを貫く力を身に付けていきたい」。道東にある酪農の町を大いに勇気づけた別海ナインの物語は、まだ終わらない。