北海が堅守でダークホース・別海を振り切り2年連続決勝進出 守備の要・幌村遊撃手「自分たちが神宮に行く」【秋季全道高校野球】
■秋季全道高校野球大会第6日(10月25日、札幌ドーム)
▽準決勝 北海6-1別海
昨秋はクラークに敗れて準優勝
北海伝統の固い守備で、勢いに乗る別海を退けた。北海は別海が見せた終盤の粘りも交わし、2年連続の決勝進出。守りの要である幌村魅影遊撃手(2年)は好プレーを連発し、相手の反撃ムードを断ち切った。昨年は決勝でクラークに敗れ、準優勝に終わっているだけに、この秋に懸ける思いは強い。幌村は「自分たちが神宮に行く。あしたは全力でやりたい」と力を込めた。
八回1死満塁のピンチで好判断
北海の遊撃には幌村が君臨している。0-2で迎えた八回1死満塁、幌村が真骨頂を発揮した。三遊間深くに飛んだゴロを補給すると、迷いなく三塁に転送し、二走を封殺。一塁や二塁に送球すると内野安打となるタイミングだっただけに、1点は奪われたものの2死一、二塁にできたことは何よりも大きかった。その後、マウンドに上がっていた松田収司投手(1年)が最少失点に抑えると、直後の攻撃で4得点を挙げ、試合を決定付けた。
平川監督「あそこで一つ取れたのが大きかった」
幌村が「きょうは後半に競ると思っていた。自分が焦ってしまったら思ったようなプレーができないと思った。落ち着いて判断した結果がああなって良かった」と振り返る守備でチームの危機を救った。平川敦監督(52)も「サードも(三塁転送を)ちゃんと予測できていたことが大きい。あそこで一つ取れたのが大きかった」と三遊間によるビッグプレーを称えた。幌村も「吉井(三塁手)は守備がうまい。横から毎球、声を掛けている」と信頼があるからこそ、成せた技だ。
昨年決勝の失策から守備への取り組み重視
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そんな遊撃手には返さなくてはいけない借りがある。昨年の秋季全道大会決勝。クラークとの一戦は七回に北海が先制し、1-0と優位に立った。しかし、八回1死から幌村が失策。その後、四球と安打で、その走者に同点のホームを踏まれてしまった。試合は延長戦の末に敗退し、優勝にあと一歩届かなかった。「自分のエラーで(現在の)3年生を勝たせてあげられなかった」と今でも悔いが残っている。
この試合を機に幌村は、さらに守備練習に時間を割いた。屋外で練習できる日は全体練習後に必ず居残りノック。「去年の秋からずっと練習していたので、守備は自信があります」と胸を張る。一塁へ送球するノックのみならず、併殺や細かいプレーなどの試合を想定した守備練習も繰り返した。
投内連係で試合と同じような緊張感
チーム全体としてもピンチで浮き足立つ様子は見られない。四回1死三塁のピンチでは前進守備を敷いた中で幌村が遊ゴロを難なく処理すると、次打者の放った二ゴロは難しいバウンドではあったが、谷川凌駕二塁手(2年)が迷いなく、前へのチャージを掛け、アウトにしてみせた。この勝負強い守備についても幌村は、「投内連係のノックで試合を想定している。ミスしたら罰がある」と、練習から試合に近い緊張感をつくり、堅守を構築してきた。
伝令もフル活用で意思統一
ベンチワークも隙がない。八回無死満塁で伝令を送ると、1死後も伝令。さらには2死満塁、カウント1-2でも伝令を送った。平川監督は「指示の統一。あそこがポイントと思ったので、悔いの残らないようにタイムも3回全部使って」と説明。2020年以来3年ぶりの優勝へ、あと一つだ。堅守の北海が昨年の忘れ物を取りに行く。