北海が秋季全道3年ぶり優勝で春夏秋完全制覇! 夏の甲子園メンバーに生まれた主力の自覚【秋季全道高校野球】
■秋季全道高校野球大会最終日(10月26日、札幌ドーム)
▽決勝 北海8-4東海大札幌高※延長十回タイブレーク
春夏秋道大会優勝は04年の駒大苫小牧以来19年ぶり
甲子園メンバーの自覚が、19年ぶりの完全制覇に導いた。北海が4点差をひっくり返し、2020年以来3年ぶりの優勝を果たした。同一年での春夏秋道大会優勝は04年の駒大苫小牧以来、19年ぶり。夏の甲子園を戦ったことで新チーム結成は遅くなるハンデもあったが、甲子園でベンチ入りした2年生の金澤光流主将ら7人が中心となって、チームをまとめていった。1試合ごとに成長し、秋も頂点に立った。来月15日開幕の明治神宮野球大会出場を決め、来春のセンバツ甲子園出場も確実にした。
厳しい試合を乗り越えて
険しい道のりを一丸となって乗り越えてきた。東海大札幌高との激闘を制し、今年の道大会を完全制覇。金澤主将は「大会を通じて、春夏を優勝して秋も優勝するぞと意識はしていた。支部からずっと厳しい試合が続いていた。勝ち切れて、すごくうれしい」と喜び、平川敦監督(52)も「すごいですね。非常にうれしい気持ちでいっぱいです」と目を細めた。
夏の甲子園ベンチ入りメンバーは9人 平川監督「自覚を持て」
新チームには1、2年生合わせて夏の甲子園ベンチ入りメンバーは9人も残った。しかし、平川監督は「満足感、達成感でどうしてもそこで終わっちゃう。気持ちの面がしっかりしないと勝つのは難しい」と見ていた。特に2年生の金澤主将、大石広那捕手、谷川凌駕二塁手、幌村魅影遊撃手、片岡誠亮中堅手、宮下温人右翼手、長谷川駿太外野手の7人には口酸っぱく「自覚を持て」と言い続けた。
新チーム内で意識や経験の差
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新たにチームを構築するのは困難な作業な上に、時間もあまり残されていなかった。幌村は結成当時を「甲子園メンバーとメンバー以外が混ざったときに意識の差があった」と振り返る。宮下も「経験の差はあるけど、チーム全体でいかないと勝てない」と危機感を抱いていた。その差を埋めるために、毎日ミーティングを繰り返した。
ミーティングを繰り返し意識を共有
選手全体、そしてポジション別と細分化しながら、あらゆる意見を吸い上げ、選手間のギャップをなくす努力を欠かさなかった。7人でのミーティングも開き、チームを引っ張る意識を常に保ち続けた。支部予選から調子の上がらなかった片岡も、自身のことよりチームを優先した。「自分はまとめるのが得意ではないけど、外野手は自分が引っ張ろうと、練習から3年生が意識していたことなどを伝えていった」。
3年生に比べ おとなしめの2年生
平川監督が「野手は(前チームで)出ていた子たちに関しては経験がある。落ち着いてゲームを進められることができる」と評価するように、それぞれが高い技術を持っている。しかし、チームの雰囲気に物足りなさを感じていたのも事実だった。片岡が「自分たちの代は声を出す選手が少ない。3年生はポジション問わず声を掛けていた選手が多かった。『試合中の声が足りない』とよく言われました」と話すと、谷川も「プレーで精一杯になってしまったりしていた部分が多かった」と続いた。扇の要・大石も「本気で変わらないと勝てない」と、ベンチにいるときも積極的に助言することを欠かさず、練習中は率先して動くようになった。「人任せになってしまうので、自分からやる意識は持って、練習や試合に取り組んでいます」。
六回は金澤主将の出塁から同点
そして、この日、プレーで示したのはキャプテンだった。2点を追う六回1死で打席に入った金澤主将は「幌村、宮下とかに『主将が(塁に)出たら絶対に点が入る。お前が出ろ』と言われていた。絶対出てやろうという気持ち」で右前打を放ち、同点劇につなげた。甲子園メンバーを中心に、この秋で確かな成長を感じさせた。しかし、指揮官は「夏までの貯金で戦ってきた。力はない。もう一回、このオフに練習しないと」と手綱を緩めることはない。目指すは日本の頂きだ。