北海の1年生右腕・松田が155球の熱投! 10回4失点で優勝投手に【秋季全道高校野球】
■秋季全道高校野球大会最終日(10月26日、札幌ドーム)
▽決勝 北海8-4東海大札幌高※延長十回タイブレーク
序盤に先制許すも四回以降は無失点
急成長した1年生右腕が、3年ぶりの秋優勝をたぐり寄せた。北海の松田収司投手(1年)が10回155球の熱投を見せた。序盤3回で4失点を喫したものの、その後は粘りの投球でスコアボードに「0」を並べた。打撃でもタイブレークの延長十回に左前適時打を放つなど、投打で躍動。平川敦監督(52)も「松田が投げるたびに良くなっていったのが、ここまで来られた大きな理由」と称えた。
5点までと我慢した平川監督
最後までマウンドを譲らなかった。大一番の先発登板、力が入った。一回、いきなり連続長打を浴びてわずか7球で失点。その後も2四球と安打で3失点のスタートとなった。三回にも犠飛で追加点を許し、暗雲が立ち込めた。平川監督も「5失点までいったら」と継投も考えていたが、松田は粘りを見せた。気付けば延長十回まで投げ抜く完投勝利で、優勝の瞬間をマウンドで味わった。
両ふくらはぎがつりそうになるアクシデントも
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公式戦自己最多の155球に「疲れました」と本音を吐露。両ふくらはぎがつりそうになるアクシデントにも襲われたが「甲子園に行きたい気持ち」で何とか踏ん張った。1年生ながら夏もベンチ入りしていたが、登板はゼロ。ベンチから熊谷陽輝投手(3年)や岡田彗斗投手(3年)らの投球を目に焼き付けてきた。「(甲子園は)憧れの場所。自分の力で投げたい」と、自らの投球で来春のセンバツ甲子園を確実なものにした。
延長十回にはバットで自らを援護
苦手なバットでも見せた。1点を勝ち越した延長十回無死二、三塁。フルカウントから左前に運び、自らを援護した。松田は「あれはまぐれ。いつもは練習でも打てなくて。バッティングは苦手」と苦笑いしたが、「絶対フライは上げないで、打つという気持ち」で相手の矢吹太寛投手(1年)の130キロ直球を捉え、一気に試合の流れも引き寄せた。
エースは不在 背番号1奪取に意欲
次は背番号1を獲りに行く。この秋、背番号1を付けたのは一塁を守る金澤光流主将(2年)だった。平川監督は「(エースは)誰がっていうのは、いないので」と、不在のまま戦いに臨んでいた。しかし、今大会では結果を示し、「投げるたびに良くなっていく。今一番、伸びていく時期なんじゃないかな。今はこのままやらせたい」と評価が高まっている。松田も「自分がエースになりたいと思っていたけど、金澤さんに1番がいって悔しかった」と闘志に火が付いた。
劣勢でも下を向かず 冷静に
今大会は全試合に登板。投げるたびに精神面でのゆとりが生まれた。「ピンチの時に、気持ちを冷静に保つこと。きょうは初回に3点取られて、そこから気持ちが下に向かないで、冷静になって、逆転するぞという気持ちになれたのが良かった」と、この日の粘投につながった。右肩上がりの成長曲線を描く右腕が、絶対的エースに成り上がる。