ファイターズ
《ハム番24時》10月26日
ドラフト1位確定後、12球団の監督にインタビューが義務づけられていた。最後にやってきたのが、新庄監督だった。足取りは重い。快活な普段の姿とは対照的。ため息をつき、すねた子どものように振る舞っていた。明らかに、くじを外したショックを引きずっていた。
西館勇(中大)の交渉権を巨人と争った。前日に予告していた通り、オーラをまとう右手を抽選箱に入れた。ゴソゴソと時間をかけて封筒を選ぶ。会場がざわざわしていた。この行動には意味があった。「はんこ(交渉権獲得の印字)の分、封筒に厚みがあったのよ。0・02ミリ。めちゃくちゃ自信あったんですけどね」
盲点を突くように知力を駆使し、指先の感覚を研ぎ澄ませたが、2分の1を引けなかった。以降は周囲の声が聞こえないほど抜け殻になったそうで、2度目以降のくじ引きは、辞退した。
結果的に緊急登板した稲葉GMが細野(東洋大)の交渉権を獲得した。新庄監督はうれしい半面、ジェラシーを感じたという。「持ってるなと思って。ちょっと腹立ったけどね。分かる? この気持ち。俺やろと(笑)」。くじ引きの主役は譲ったが、喜怒哀楽を隠さないユーモアたっぷりのトークは、キレキレだった。