プロ野球
2023/10/26 23:30

星槎道都大153キロ左腕・滝田一希が亡き母に捧げる涙の広島3位指名【ドラフト会議】

広島から3位指名され、チームメートに胴上げされる星槎道都大の滝田投手(中央)(撮影・宮永春希)

黒松内町出身 侍ジャパン大学代表にも選出

 プロ野球ドラフト会議が10月26日に東京都内で行われ、札幌学生野球連盟1部の星槎道都大・滝田一希投手(21)が広島から3位で指名を受けた。黒松内町出身で、寿都高校では全道大会出場など目立った成績はなかったが、元巨人で同大の二宮至監督(70)に将来性を見いだされ進学。2022年には最速150キロをマークして、侍ジャパン大学代表合宿に参加するなど才能を開花させた。昨年5月に他界するまで支え続けてくれた母・美智子さんや家族への感謝を胸に、プロの世界に身を投じる。

母は昨年5月に他界

 お母さん、見てるかい? 自らの名前が呼ばれた瞬間、滝田は驚いた表情の後、深い安堵(あんど)のため息をついた。そして、亡き母への思いがこみ上げ、涙が頰を伝ってあふれ出た。「本当に、こんなに早くに呼ばれると思っていなかったので、すごく嬉しい気持ちでいっぱいです。呼ばれた瞬間、(母から)おめでとうって聞こえるぐらい、自分の心に響きました」と目を真っ赤にはらして、母への思いを紡いだ。

遺影に見守れながら会見

 会見には形見のネックレスをポケットにそっとしまい込み、遺影に見守られながら臨んだ。6人兄弟。6歳のころから、女手一つで朝早くから深夜まで働いて育ててくれた。「まだスタートラインに立っただけで、ここから自分がやるしかない。母には活躍した時に感謝を伝えたいですし、今日はここまで成長させてくれてありがとうっていうしか言えないです」。携帯電話には祝福のメッセージが150件以上。「今日中に返せればいいですけど」とぽつり。優しい性格がにじみ出ていた。

夏に左でん部負傷し 秋季リーグ前半は登板無し

 一時は本当に指名されるのか、弱気になった。夏場に左臀部(でんぶ)を負傷して、秋のリーグ戦前半は登板なし。復活登板は9月20日の札幌大戦。先発して7回⅔を6安打2失点(自責1)。NPB6球団のスカウトが見守る中、最速150キロをマークしていたが、「10月に入ってから、毎日ずっと不安でした。けがもあって自信が持てなくて、そこが一番の不安要素でした」。指名された今、その不安は杞憂(きゆう)に終わった。

広島との不思議な縁 「球団で最後を終えられるぐらい頑張りたい」

関連記事一覧を見る

あわせて読みたい