進学、就職…新生活のスタートは、大きな希望に少しの不安がつきまとう。異国であれば、ストレスはなおさら大きいはずだ。ただ、新入団の孫易磊はとても明るい表情を見せてくれる。頼りになる心優しい兄貴分の存在があるからだろうと、想像する。

　国頭で始まった秋季キャンプの期間中、畔柳と孫易磊は同部屋で寝食を共にしている。どのようにコミュニケーションを図っているのか気になり、畔柳に尋ねると「スマホの翻訳アプリです。細かいところまで（ニュアンスが）合っているかは分からないけど、ふわっとした感じで伝わってます。あとは身振り手振りですね」と、内情を教えてくれた。

　語学の手ほどきもしているようで、孫易磊は早くもいくつかの単語を習得していた。取材時には「オツカレサマ、コンニチハ、コンバンハ、ダイジョウブ」と、覚え立ての日本語をいくつも披露してくれた。一つ屋根の下。〝テツコの部屋〟でのやり取りが、台湾の至宝のチャレンジを支えている。