高卒2年目の育成右腕・福島蓮 国頭ブルペンで熱投 金子特命コーチ「僕以上の成績を残せる可能性は大いにある」
沢村賞右腕と二人三脚 熱のこもった61球
日本ハムの福島蓮投手(20)が6日、沖縄・国頭で行われている秋季キャンプで、ブルペン入りした。マウンド後方で見守った金子千尋特命コーチ(39)と一球一球、ハイスピードカメラの映像やデータを確認しながら、61球を熱投。今キャンプのテーマにしているスライダーの改良に励んだ。
金言に興奮 「すごいとしか言えない」
高卒2年目の育成右腕にとって、至福の時間だった。「小、中学生ぐらいの時のスター」という金子コーチから密着指導を受け、「変化球がもともとあんまり良くないので、リリースの感じとかを見てもらって、いろいろと教えてもらいました。スライダーは、投げる時に左バッターの足元、インロー、膝ぐらいを狙って投げたらいいんじゃないかと。すごいですよね。すごいとしか言えない」と目を輝かせた。
149キロ締め あこがれの存在から賛辞
ラスト1球は、この日最速の149キロを計測した。ブルペンを見終えた金子コーチは、福島が少年時代、自身に憧れていたことを聞き、「そう言ってもらえるのはありがたいですけど、時代ですよね。時の流れを感じます。それはそうですよね。僕は今年40歳で、彼が20歳ですからね。僕が30歳の時に、彼は10歳」と笑いつつ、「きょうは後ろから見ていましたけど、まあすごいストレートを投げるし、背が高くて角度もある。これでフォークも操れたら、そう簡単には打たれないと思う。僕以上の成績を残せる可能性は大いにある」と右腕の潜在能力を高く評価した
3年目の飛躍へ カギになるのはスライダー
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一方で、金子コーチは福島のスライダーに対する意識に、さらなる進化の可能性を感じていた。「本人にたぶん、若干の苦手意識がある。当たり前のことを言いますけど、いいところに行ったら、ちゃんと曲がるし、落ちている。ただ、それを続けられていないだけ。ストライクを取れなくなると、どうしても勝手に苦手意識がついてしまう。自分はコントロールが悪い、苦手だってなってしまうと、投げなくなって、よりスライダーが悪いものだと勘違いしてしまうことがある。投げられる可能性は全然あるので、しっかり継続して投げられる練習をしていってほしい」と期待を込めた。
投手心理をズバリ 変化球の上達法を解説
さらに、かつての沢村賞右腕は、変化球の上達には技術だけではなく、気持ちの改革が必要だと説く。「変化球が苦手な人にありがちなのは、自分から見て変化していないと不安になること。でもバッターからしたら、そういうわけじゃない。そこをちゃんと理解できると、投げる時の自分の気持ちが変わってくる。ピッチャーって、なかなか思い通りにいかない。曲げたい時に限って曲がらないし、落としたい時に限って落ちないし、逆に落ちなくて良い時にめちゃめちゃ落ちたりする。ということは、気持ち的な変化で、投げ方って変わるので、そこも理解してもらいたい。本当にたまにですけど、後ろで見ている時に、例えば『今、追い込んでいて、バッターが誰で、空振りを取りにいくフォークを投げて』って言うと、すごい引っかけるか、抜けるか。違うタイミングの時に、『カウント球で、真ん中でいいからフォークを投げて』って言うと、めちゃめちゃいいところに行く。それを分かってほしい。ボールが良かった悪かっただけではなくて、何でダメだったのかを考えて、ブルペンで投げてほしい」と注文した。
狙うは支配下登録 実り多い秋季キャンプに
来季、開幕からの支配下入りを目標に掲げている福島は、少人数で練習を行っている国頭キャンプの環境を生かし、今後も金子コーチを質問攻めにしていくつもりだ。
「選手時代は全然しゃべっていないですし、聞きにも行けなかった。国頭に来て、少し話ができるようになりました。まだじっくりは話せていないので、これから変化球のこともそうですし、心構えとかも聞きに行きたいです」。もらった〝金言〟を力に変え、2桁背番号を勝ち取ってみせる。