育成右腕の柳川大晟 国頭ブルペンでアピール成功 稲葉GM「(支配下に)近づいてきている」
沖縄・国頭での秋季キャンプ ブルペン投球59球
南国の青空の下で、未来の守護神候補が輝きを放った。日本ハムの育成右腕・柳川大晟投手(20)が7日、沖縄・国頭で行われている秋季キャンプでブルペン入り。稲葉篤紀GM(51)が見守る中で渾身の59球を披露し、支配下入りへ猛アピールした。
捕手を務めたチームスタッフも絶賛
〝GM御前ブルペン〟で、燃えないわけがなかった。序盤から、捕手のミットをはじき飛ばすような剛速球を連発。「悪くはなかったです。GMが見ている前で、いい球も何球かあったし、そこは良かったです」と笑顔を見せた。
球を受けたチームスタッフの柴田さんは「直球は、音で表したらギュンっていう感じ。単純に球が速くて、魅力満載」と感想を口にした。
突然訪れた好打者との〝対戦〟
投球練習が中盤に差しかかろうとした時だった。捕手の後ろで食い入るように柳川をチェックしていた稲葉GMが、おもむろに左打席に入った。育成2年目の右腕にとっては、突然訪れたアピールの大チャンス。「急だったので、ちょっと力みました。いい球を投げようと思って力が入りました」と夢中で腕を振った。
カットボールで臆さず内角もえぐった 稲葉GMも首肯
レジェンド打者との〝対戦〟にも「緊張はあんまりしなかった」と堂々と立ち向かった。通算2167安打を放ち、数々の好投手と対戦してきた稲葉GMが、うなるような直球に何度もうなずき、内角をえぐるカットボールには「うおお、すご、良い曲がり」と驚きの表情を浮かべていた。
評価はうなぎ上り 近未来の守護神候補
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練習終了後、稲葉GMの口からは称賛の言葉があふれた。「ボール強いですよ。150キロは出ていたと思います。1軍で通用するぐらいまで来ているんじゃないかな。本当に、順調にここまで来ている」。将来、チームの守護神として起用する可能性についても「うん、十分ありますよ」と言い切った。
期待大の逸材 課題もハッキリと指摘
一方で、支配下昇格へ向けた課題も指摘した。「やっぱり1軍は、球だけで抑えられるところではない。きょうはクイックを一生懸命、練習していましたけど、そういう細かいところはまだ、これからじゃないですか。球が2軍で通用しているのは、すごく分かっている。もう本当に(支配下に)近づいては来ているので、このオフどういう取り組みをしていくかは大事でしょうね」。潜在能力の高さを認める分、さらなる成長に期待を寄せた。
2023年は飛躍のシーズン あらゆる数値が上昇
高卒2年目の今季は進化の1年だった。2軍戦で13試合に登板。15回⅔を投げて防御率1・72。こだわっている奪三振率は11・49を記録した。初めて本格的にウエートトレーニングを導入し、除脂肪体重はシーズン前の72キロから79キロまでジャンプアップ。191センチ、90キロの体に厚みがつき、球速は自己最速の154キロを計測した。
「結構、良い体になってきました。メディシンボールのスローとか、走るタイムとか、全部上がりました。球速が上がったのは絶対、トレーニングの成果だと思います」と自信を深めている。
確かな手応えに十分な伸びしろ 来季の目標も明確
来季の目標には「支配下入り」「球速157キロ」「奪三振率12」の3つを設定した。「まだ全然、もっとやれると思っているので、他の育成の人とかは意識せずに、自分がやるべきことをやったら(支配下に)上がれると思うので、レベルアップしたいです。自分は、まだいけます」と高みを見据えている。
狙うは同学年の中での〝最速デビュー〟
今キャンプで切磋琢磨している同学年の達、畔柳、松浦、福島に対するライバル意識もある。達、畔柳、松浦の3人は昨季、一足早くデビューを飾ったが、シーズン最終盤だったこともあり、柳川は「あれはなしです(笑)。誰も1軍にまだ行っていないので、1番に投げたい気持ちはあります」と本当の戦力としての〝最速デビュー〟を狙っている。
助言も頭に叩き込んだ さらなる飛躍へ気合十分
この日、稲葉GMから助言ももらった。「クイックの感じを打者目線で教えてもらいました。力が入りすぎているというか、もうちょっと楽にセットに入って、という感じで。まだ結構ばらつきがあるので、もっと一球一球の精度を上げていきたいです」
まだ表情にあどけなさも残る20歳。最高到達点は、誰にも想像がつかない。