〝国頭組〟野手最年長の郡拓也 戦力外も覚悟した男が逆襲誓う
野手4人の国頭で奮闘中 悔しさをモチベーションに変えて
エスコン組に負けてたまるか―。日本ハムの郡拓也捕手(25)が沖縄・国頭で猛練習の日々を過ごしている。今年の秋季キャンプは2組に分かれて開催中。主力を含む野手の大半は今、エスコンフィールドで守備強化に励んでいる。一方で、国頭組は4人のみ。他3人は全員後輩だ。「悔しい気持ちが強い。僕の年で、こっちの4人に含まれているということは、考えることがたくさんある。何も思わないことはない」と危機感を募らせた。
高卒7年目捕手 一時はクビを覚悟
今季が高卒7年目。今キャンプの振り分けを確認した時、郡は戦力外を覚悟した。「もう、めっちゃ考えていましたよ。キャンプメンバーが発表されて見た瞬間に、終わったなと思った。さらにドラフトでキャッチャーを取って、確定なんだと思った」
野球ができなくなる状況も頭をよぎっただけに、「まだ戦えるところにいるので、頑張るだけです」と燃えている。
チームをけん引する先輩の存在が心の支え
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心の支えになっているのは、帝京高の先輩でもある松本剛の存在だ。オフには自主トレをともに行い、シーズン中には食事に誘われ、激励の言葉をもらったという。
「ちょうどファームと(1軍が)仙台で(試合が)かぶった時にご飯に一緒に行ったりして、(戦力外)やばいなという話もして、励ましてもらった。剛さんがそばにいてくれると心強い。また一緒に自主トレできると思うので、頑張ろうという気持ちです」と力を込める。
今季わずか7試合出場も成長を実感
今季は1軍で7試合の出場にとどまった。それでも15打席で4安打をマークし、一定の手応えもつかんだ。「1軍で打席数が少ない中でヒットは出ていた。全く歯が立たないという感じではなかった」。2軍では自己最多の9本塁打を放ち「右方向を狙いながらでも、引っ張りにいける感覚が自分の中にあった。右方向に打つ練習をして、追い込まれてからの対応も変わって、三振も減った」と成長を実感している。
22年の首位打者からアドバイス 「頭を使え」
松本剛からの助言もプラスに働いた。「毎回言われているのが、『おまえは、頭を使え』ということ。反応で打つだけじゃ難しいところがあるので、結構、考えるようになりましたね。配球だけじゃなくて、打つ方向を決めたりとか、一番やっちゃダメなシチュエーションを考えて、それをやらないためにこのボールを待とうとか。去年、剛さんとその話をして、今年はそれがいい方向にいったのかなと思います。大して数字は出ていないですけど、自分の感覚ではすごい良かった。継続していきたいです」と先を見据えた。
代打での出場もイメージ 現在の立ち位置は重々承知
来季、1軍で多くの打席数を勝ち取るため、意識しているのは代打での結果だ。「僕はスタメンではないので、出ても代打から。代打で打たないといけない。守備も大事ですけど、まずは代打で打つこと。代打は振っていかないといけないので、その中でちゃんとコンタクトしていくことが難しい。初球から打って凡打したら、終わり。かといって初球を見逃して、ど真ん中だったりしたら、どんどんこっちが追い込まれていく。2軍でも、代打での打席は大事にしたい」。自身の起用法をイメージしながら、活躍を思い描いている。
一心不乱に振り込む日々 目指すはコンタクト率の向上
今キャンプのテーマは、代打成功にもつながる「コンタクト率の向上」に設定した。「ヒットを打たないといけないので、コンタクト率ですね。今年も三振を減らしたいと思って臨んで、結果的に三振が減ったので、あとはヒット」。北海道から遠く離れた南国で、水野、有薗、阪口と毎日、泥にまみれながら、真夏のような暑さの中でバットを振り込んでいる。
捕手としての役割も全う すべてに全力を尽くす
7日には、ブルペンで金村ら投手陣の球を受けた。「シーズン中にあんまりブルペンに入れていなかったので、正直、受けたことがないピッチャーもいた。金村がそうで、受けていないと自分も嫌だし、ピッチャーを投げにくくさせるのが一番ダメだと思うので、受けておいた方がいいかなと思ったので。どこにいても自分のやることは変わらない。時間はたくさんあるので。体は一番元気です」。与えられた場所でできることを探し、少しでも前進しようと必死だ。
思い描くエスコンでの初アーチ このままでは終われない
来年の目標は、エスコンで初本塁打を放ち、お立ち台に上がること。「この状況は僕的には危機感しかない。見返してやるぞっていう気持ちは大きいです」。国頭で感じた悔しさをバネに、エスコン組を追い抜いてみせる。