【赤黒戦士、シンジを語る】①MF駒井善成 不調のときにもらったアドバイスがすごくありがたかった
今季限りで現役引退する小野伸二特集 第1弾
今年9月27日、〝天才〟MF小野伸二が自身44度目の誕生日に今季限りでの現役引退を発表した。日本代表としてW杯に3度出場し、海を渡ったフェイエノールト時代には日本人として初めて欧州主要タイトルの一つ、UEFA杯を獲得するなど日本サッカー史にその名を刻んできた。国内外で数々のクラブを渡り歩いたが、現在所属する北海道コンサドーレ札幌ではキャリア最長となる延べ8年間を過ごした。希代の天才と共に年月を過ごしてきたチームメートたちは、その目にどんな姿を焼き付けてきたのか。赤黒戦士たちの証言から、シンジの素顔に迫る―。第1回は、同じ中盤で多くのことを学んできたMF駒井善成(31)。
実績や知名度があるのに「本当にすごく謙虚な人」
プレーヤーとしてはもちろん、高い人間性にも惹かれた。2018年から札幌に所属している駒井は、小野と約4シーズンを過ごした。小野は日本を代表するファンタジスタだが、駒井は「本当にすごく謙虚な人」と語る。「実績や知名度がある選手なんですけど、そういうのを見せない。僕たちにも本当に優しく、気を遣って行動してくれます」と、決しておごるような姿は見せなかった。「一番最初に会ったときの驚きは『こんなにも謙虚なんやな』っていうイメージでした。そこから変わっていないですし、素晴らしい人です」。
ベテランでも劣らぬ技術の高さに驚き
当然、プレーヤーとしても尊敬される存在だ。ボールタッチの柔らかさやパス精度、さらに戦術眼も群を抜く。「海外でバリバリやっているときのプレーはみんなも知っていると思うけど、僕が会ったときにはもう37歳ぐらいのベテラン。それでもキックの精度だったり、ボールを使ってプレーするときの技術の高さには驚かされました」と、いくつになっても衰えない技術には舌を巻いた記憶がある。そして、「伸二さんの全盛期と一緒にやってみたかったな」と、本音も覗かせた。
うまくいっていないときの的確な助言に感謝
いつも、ふとしたときに助言をくれた。「伸二さんは僕がちょっとうまくいっていないときに、必要なアドバイスをくれるイメージでした」。しっかりとチームメートのプレーや状態を見て、悩んでいるであろう選手には指摘したり、自らの経験値の中で的確に助言する。「毎日、自分がうまくいっていないなって思ったときにくれるアドバイスが、僕にはすごくありがたかった」と感謝した。
学んだ技術とセンス
駒井も同じ中盤の選手で、ミニゲームなどでは何度もマッチアップした。「すごいですよ。ちょっと小さめのピッチだったら、なかなかボールを取れる気がしない。本当に技術の高さと、自分が目を切った瞬間の動き出しとか、ボールを出して動いてとか、そういうところのサッカーセンスは本当にすごい高い。勉強になると思いながらやってました」と、目の前の〝教材〟から一つでも多くのことを盗もうと必死だった。
今後は僕が伝えていけるように
「伸二さんから学んだことはすごくある。技術では真似できないこともありましたけど、謙虚な姿勢だったり、サッカーを楽しむ姿勢だったり、人としてのあり方というのは、すごく近くで見てきて、僕も近づけるようになりたいと思っていた。今後は僕が伸二さんのそういう姿勢を伝えていけるように頑張っていきたい」
互いの古巣・浦和戦がラストマッチ
小野の現役ラストマッチとなるのは、奇しくも互いの古巣でもある浦和戦(12月3日、札幌ドーム)。「いっぱいお客さんが入ってくれるというのは聞いているので、引退を飾ってもらえる花道というところでは、良い舞台が整っていると思う。悔いなく、楽しく、伸二さんらしくプレーしてもらえたらいいなと思います」。レジェンドの現役最後となるプレーを、駒井も目に焼き付ける。