育成・山本晃の進化の理由 防御率が8・77→3・13に 来年こそ鉄腕と関学リレーだ
■秋季キャンプ(11月9日、国頭)
キャンプ2度目のブルペンで力投65球
日本ハムの育成4位ルーキー・山本晃大投手(24)が、沖縄・国頭で〝勝負の2年目〟に向けた準備を進めている。9日には、今キャンプ2回目のブルペン入り。変化球の精度を課題に、65球を力投した。「低めの変化球で三振が取れるようになりたい。きょうは良い感じに投げられました」と充実感をにじませた。
コツつかみ 6月後半から11試合連続無失点
プロ1年目の今季は、前半戦で壁にぶつかった。大量失点を喫する試合も多く、6月までに25回⅔を投げ、防御率8・77と苦しんだ。ところが、後半戦は一気に成長を遂げた。6月後半から11試合連続無失点を記録し、7月以降は31回⅔を投げ、防御率3・13。「後半戦は打ち取り方のコツが分かってきた」と自信をつかんだ。
2軍調整中の鉄腕からタイミング学び 「これや!」
飛躍の理由は、大きく二つある。一つは、関学大の先輩・宮西のブルペンを観察し、ヒントを得たこと。「一回、宮西さんのピッチングを、ブルペンの後ろで見させてもらったことがあるんです。その時に、やっぱり足を上げてから横を向いている時間、ためが長いなと思った。ボールの出どころが本当に見づらくて、真っすぐがスライダーか全く分からなかった。そこをすごく意識して、足を上げてから投げるまでのタイミングを今までよりもう一個長くしてから、めっちゃ打ち取れるようになったんです。明らかにファウルが増えて、これや! って」。打者のタイミングを外す〝間〟を学び、結果につながった。
「覚悟をもって走れ」
憧れの鉄腕からは、練習への向き合い方も一から教わった。「一緒にランニングしていても、『おまえ、それ出し切ってないやろ』『終われるわけないやろ』って、やり直しさせられました。『野球で飯を食っているんやから、覚悟をもって走れ』って。実際に、宮西さんに『1本、全力で走ってみろ』って言われて走ると、今までより走れる。ということは、それだけまだ出し切れていないということ。あの人が言うことには重みがある。ありがたいです」と大きな感謝の気持ちを抱いている。
スピード重視からコントロール重視へ 恩師から「成長したな」
この記事は有料会員限定です。
登録すると続きをお読みいただけます。
もう一つの理由は、島崎2軍投手コーチからの指導だ。「最初の方は僕、真っすぐの球速にこだわって、スピードガンコンテストみたいな感じになっていて、ストライク率がめっちゃ悪かったんです。島崎コーチから話をしてもらって、とにかくストライクを取ることを意識するようにしてから、常に有利なカウントで投げられるようになって、抑えられるようになった。最後の方に、島崎コーチからも成長したなって言ってもらえて、うれしかったです」。
1年間で小さなけがひとつせず 「親のおかげ」
1試合で10失点を喫し、落ち込む日もあったが、けが人が多かったチームの中で1年間フル回転した。「結構しんどかったですけど、育成の立場で、投げさせてもらえるのは一番ありがたい。体はきつかったですけど、投げてなんぼなので、1回も離脱なくできたことは良かった。もともと体は弱くない。今まで人生でけがは一回もしたことがない。ちょっとした捻挫もない。親のおかげですね」と笑顔を見せた。
地元で培った〝かつおパワー〟
タフさの根源は、幼少期からの食生活にある。「地元の親戚が全員、かつお船に乗っていて、僕の家は小さい頃から365日ほぼ毎日、鰹の刺身が食卓に出ていたんですよ。鰹は毎日でも飽きないんです。これで、骨が強くなったのかもしれない。何かしら影響していると思う。締めにお茶漬けにするのもおいしい。今でも大好きです」。新鮮な〝かつおパワー〟が、育成左腕のタフネスボディーをつくりあげた。
北山とのラーメン会
鎌ケ谷生活でのリフレッシュは、たまのご褒美で行く北山とのラーメン会。「僕ら2人とも二郎系が好きなので、千葉のいろんなところに行きました。麺300グラムで、おなかが減っていたら野菜増しです。北山とは、最初は仲良くなれないかなと思っていたんですけど、あいつが鎌ケ谷に来てからしゃべるようになって、ラーメン好きで意気投合しました」と、同学年右腕との交流を明かした。
「1軍で宮西さんと関学リレーしたいです」
支配下入りを目指す来季は、スタートダッシュをもくろんでいる。「支配下に上がるには春先が大事。僕ら育成は、徐々に調子を上げていくような立場じゃない。キャンプの1日目、2月1日に絶好調でいたい。来年こそは、1軍で宮西さんと関学リレーしたいです」と、力強く意気込んだ。