沖縄・国頭で行われている秋季キャンプで、高卒２年目の達が〝違い〟を見せた。今クール、投手陣には３００メートル走×６本のメニューが課されていた。多くの選手にとって、キャンプ中最もきついメニューの一つだ。この日、一人で陸上競技場に向かった達は「みんなと同じじゃダメなので」と、５、６本目を自ら４００メートルに延長。最後は顔をゆがめ、疲労困憊（こんぱい）になりながらも、「自分に負けたら終わり」と、必死に完走した。ゴール後、倒れ込んで沖縄の青空を見上げながら、「楽しい、楽しい」と自らに言い聞かせるようにつぶやいていた姿が印象的だった。

　視察に訪れていた稲葉ＧＭは、若手主体の国頭キャンプの目的を「オフにどう練習すれば良いか、このキャンプを通して考えてもらいたい」と説明した。前日８日は「個人練習デー」と題し、各自に練習を考えさせた。「いくらキャンプで練習しても、オフに入って何もやらなかったら意味がない」と、主体的な取り組みを求めている。この日、達が自ら走る距離を伸ばし、自分を追い込んでいる姿を見て、球団の意図がしっかりと伝わっているなと感じた。