男子1000メートルは山田将矢が地元で初優勝 女子1000メートル高木美帆は2位発進【スピードスケートW杯】
■スピードスケートワールドカップ帯広大会 第1日(11月10日、明治北海道十勝オーバル)
▽男子1000メートル
1分8秒35でトップに立ち 「やっと自分の力を出せた」
男子1000メートルの日本記録保持者である帯広市出身の山田将矢(27、ウェルネット)が、地元でワールドカップ初優勝を成し遂げた。3組目で1分8秒35を記録してトップに立つと、最後まで譲らなかった。「ああいうレースを目指しているので、やっと自分の力を出せた安心感が強かった」と安堵の表情。大舞台で力を出し切れていなかったスプリンターが開花した。
自信を深め、周囲に感謝
ようやくたどり着いた景色だった。初めてワールドカップの頂点に立った27歳は「ホッとしています。やっている方向性が間違っていないと思えたのが一番良かったです」と地元で見せた滑りで自信を深めた。「今まで信じてくれて寄り添ってくれたトレーナーさん、監督、コーチに恩を返せた。ここまで来られて良かった」と支えてくれた周囲に感謝を示した。
不安を取り除き、レースに集中
コンディションさえ良ければ、世界と戦える自信はあった。今季はその準備ができたことで「今シーズンの自分なら、どこかではやれると思っていた」という。山田将は自らの持ち味を「最初から最後まで(スピードを)持続できるのは、世界的に見てもわずか」と分析する。ここ2、3年は足首が安定しなかったことに悩まされ、不安を抱きながら滑っていた。しかし、今季は「無駄なことを考えなくて良くなった。足首を気にしないで滑られるようになったのが大きい」と、スケーティングに集中することができている。「再現性が少し上がった。1割だったものが5割ぐらいになった。レースにポジティブな気持ちで挑めている」。
兄弟で世界の表彰台に立つことが目標
弟の山田和哉(22、高崎健康福祉大)は1分9秒05で8位。山田将は「自分の力を出せたら、世界トップクラスのレースを一緒にできる。刺激し合って、もっと上に登っていけたらいい。2人で世界の表彰台に立てたら、それ以上のことはない」と目標を掲げた。この勝利を自信にして、さらなる躍進を狙う。自らの持つ日本記録1分7秒03の更新、そして「日本人が出したことのない1分6秒台」に目標を設定。一つの勝利が、大きな成長の後押しとなる。
▽女子1000メートル
3種目出場の高木 不完全燃焼の悔しさは1500にぶつける
女子1000メートル、1500メートル、チームパシュートの3種目に出場する高木美帆(29、TOKIOインカラミ)は、1分14秒68で2位に終わった。地元・十勝での一戦だったこともあり「優勝してみなさんの前で、良いところを見せたかった。そういう意味では不完全燃焼。その気持ちを明日に向けていきたい」と、11日に行われる1500メートルでの巻き返しを誓った。
スケート靴の変更でイメージの不一致
ブレードを変更したことで滑りを模索している最中だ。「今の必要なことと自分のイメージがマッチしていないかな。私のイメージをつくり直さないと」と振り返った。高木は「(滑りを)習得していきたい」と強調し「もうちょっと後半はこういうふうにできたら、というアイデアはあるけど、そこまで届いていない。根気強くチャレンジしていきたい。レースに限らず、いろいろ発見がある」。今季は勝利と進化の両獲りを目指す。