札幌GK高木駿が得意のエリア外カバーで完封に貢献 上位・広島相手に熱闘スコアレスドロー
■J1第32節 札幌0-0広島(11月11日、札幌ドーム)
前回対戦と同じく両チーム無得点も 内容で魅了
リーグ開幕戦に続き、再びスコアレスドローでの決着となった。互いにゴールネットを揺らすシーンこそ無かったものの、90分間にわたって両チームがピッチ上で繰り広げたテンポの速いサッカーは、札幌ドームに詰めかけた1万2906人の心を激しく揺さぶったはずだ。
札幌の守護神と広島の日本代表GK大迫が躍動
その熱戦の主役となったのは、両チームにいる2人の守護神だった。広島の日本代表GK大迫敬介(24)がビッグセーブを連発すれば、札幌のGK高木駿(34)も負けじとゴールマウスを守り抜いた。
前半の45分間を優位に進めたのは札幌。多くの時間でボールを保持し、幾度となく広島ゴールへと攻め込んだが、そこに立ちはだかったのが大迫だった。
エリア内で札幌が連続で決定機迎えるもビッグセーブで阻まれる
同29分、左サイドを突破してペナルティーエリア内へと進入したFW菅大輝(25)がMF青木亮太(27)へラストパス。青木が右足で決定的なシュートを放つが、大迫に右手一本ではじき返されてしまう。札幌はそのこぼれ球をつなぎ、ゴール前で再び青木が左足で狙うが、今度は大迫の左手に防がれてしまった。前半だけで7本のシュートを放った札幌だったが、大迫の牙城を崩すことができないまま無得点で前半を折り返した。
「絶対に負けたくない」と高木も触発され エリア外もカバー
好セーブを連発する姿に「相手のGKが代表だというのは意識していたし、絶対に負けたくないという思いもありました」と、反対側のゴールを守った高木も触発された。後半に入ると広島が長いパスで札幌のDFライン裏を狙う場面が増えるが、高木が何度もペナルティーエリア外に飛び出してカバーし、ピンチを防ぎきった。「自分自身、得意としているプレー。僕が出てくることで味方のDFがより前に行ける。後ろを越えたらGKが出てくるという意識があれば、余計な裏への心配を減らすことができるし、そのあたりはミシャさんからも要求されていること」。
攻撃的な、前へ出ていくGKとしてチームに貢献
この記事は有料会員限定です。
登録すると続きをお読みいただけます。
高木のカバーによって、札幌のDFラインはズルズル下がることなく高い位置をキープ。それにより相手の攻撃を散発的にとどめることができた。さらに攻撃面では最後まで相手陣内へ進入してチャンスをつくり続けることへもつながった。まさに〝攻撃的なGK〟としてチームに貢献してみせた。
子供たち3人とピッチに入場
家族の応援を力に変えた。この日の選手入場時には自身の3人の子供たちと共にピッチに登場。イレブンショットにも一緒に参加した。「子供3人と入場して、一緒に撮影までさせてもらって。子供たちも(一緒に入場するのが)すごく好きなんですけど、まだ(札幌に)来てから一緒に入場できていなかったので」。8月に札幌へ加入してから5試合目となるホームゲームで、ようやく念願を叶えることができた。「一番下の子(幼稚園年少)がドーレくんをめちゃくちゃ怖がっていて(笑)。ずっとドーレくんが近くにいるから気が気じゃなかったみたいですけど、何とか大丈夫でした」と、舞台裏のエピソードも明かしてくれた。
加入後2度目のクリーンシート
家族が見つめる中で達成した加入後2度目となるクリーンシート。「勝てたらもっと良かったですけど、守備の人間としてはゼロで抑えられて良かったです」と、奮闘する父親の姿を子供たちにも披露することができた。
深井の戦線離脱が発表され
試合前にはMF深井一希(28)が右膝前十字靱帯損傷等のため5度目の手術を受けたことが発表された。「もう何とも言えない。何て声を掛けてあげたらいいんだろうって。簡単に『頑張れ』という言葉で片付けられないような…」と、胸の内を吐露する。
選手全員で応援するTシャツ着用
札幌のベンチ裏には深井の背番号8のユニホームが掲げられ、試合前後には胸に『大丈夫 俺たちも信じてる』と書かれたTシャツを選手全員で着用した。「僕たちはあいつのことを信じて待っているしかない。今日あのTシャツを着て、こっちの気持ち、思いは伝えられたと思う」。
残り2試合も無失点で
〝不屈の男〟の復活をみんなが信じている。「あいつにしか分からない苦労とか、そういうのもあると思う。でも、仲間としてやっぱり支えてあげたい。それは本当にみんなの思いだと思います」。深井を元気づけるためにも、残り2つとなった試合もクリーンシートで終わらせてみせる。