創部100周年の北海 〝百折不撓〟の精神で100分の激闘制し3連覇【全国高校サッカー選手権北海道大会】
■全国高校サッカー選手権北海道大会最終日(11月12日、札幌ドーム)
▽決勝 北海3-2旭川実業
メモリアルイヤーにV3 ライバルを振り切った
札幌ドーム初開催となった決勝は、北海が延長戦の末に3-2で旭川実業に勝利。創部100周年の記念すべき年に大会3連覇を達成し、全国切符をつかみ取った。
4500人の観衆を沸かせた大熱戦
大会史上最多となる4500人の観衆が詰めかけた一戦。プリンスリーグ北海道王者の北海と、インターハイ道予選の覇者でプレミアリーグEAST参戦中の旭川実業という道内高校サッカー界の両雄が激突した。2002年にはサッカーW杯も行われたピッチで大熱戦が繰り広げられた。
得意の形で鮮やかに先制 ゴールゲットのFW田中「決勝戦でもできた」
開始早々の前半6分、試合を動かしたのは北海だった。敵陣深くの左サイドでFW野村光希(3年)がボールを奪うと、ゴール前へマイナスのクロスを供給。FW田中準人(3年)が左足でゴールにねじ込んだ。チームに勢いをもたらす先制点をゲットした田中は「1年を通して野村がサイドで起点になって、そこからのクロスで点を決めるというシーンが多かった。決勝戦でもそういう形でできたのは良かった」と2トップを組む相棒をたたえた。
両チーム譲らず同点で延長戦に突入
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試合はその後も北海ペースで展開。守備陣が旭川実業にチャンスをつくらせず、攻撃面でも何度も相手ゴールに迫るなど優位に進めた。だが、同32分に同点ゴールを許し1-1で前半を折り返す。
北海は後半21分にMF中村心(3年)が勝ち越しゴールを決め、再びリードを奪った。それでも旭川実業が粘る。終了間際の同38分に再度、同点ゴールを献上。前後半80分でも決着がつかず、試合は延長戦へと突入した。
延長後半2分に決勝ゴール 2年生DF渡部が決めた
そして迎えた延長後半2分、北海は右サイドの高い位置でFKを獲得。このチャンスをモノにした。ペナルティーエリア内へ蹴り込まれたボールに反応したDF武笠健次郎(3年)がゴール前のスペースへ折り返す。そこへ走り込んだDF渡部雄大(2年)が右足で値千金の勝ち越し弾を押し込んだ。
殊勲の渡部は「武笠さんが折り返してくれると信じていたので、自分の頭を越えた時に、もうゴール前へ走ろうという気持ちで。みんながつないで生まれたゴールだと思うので、最後は自分のところで北海のために、3年生のために、2年生の自分が気持ちでねじ込めた。最後は気持ちだったと思います」とチームメートへの感謝を口にした。
感無量の指揮官 「花を添えたいという気持ちが子どもたちにあった」
試合はこのまま3-2で終了。計100分の激闘の末に軍配は北海へ上がった。
島谷制勝監督(54)は優勝の喜びと安堵が入り交じった表情で「創部100周年という節目。3連覇で花を添えたいという気持ちが子どもたちにあったと思う。本当に良かったです」と教え子たちを誇った。
これぞ伝統校の底力 負けられない一戦で校訓を体現
先行しながらも2度追い付かれるという苦しい展開の中、勝ちきった。指揮官は「やっぱり諦めないということ。子どもたちも、かなり疲弊した。心が折れそうになっていたところもあったと思いますけど、わが校の校訓にある〝百折不撓〟という言葉の通り、100回折れそうになっても諦めないということを3年間かけてやり続けてきています。最後まで絶対にチャンスをつくろうとか、絶対に粘ろうとやってくれたので、それが勝敗を分けたのかもしれないです」。伝統校が培ってきた精神力が価値ある白星をたぐり寄せた。
19年ぶりの初戦突破へ 川合主将「一戦必勝でいく」
3年連続で出場する全国大会だが、過去2年はいずれも初戦で敗退。キャプテンのDF川合航世(3年)は「去年、おととしと先輩が全国の舞台を見せてくれたんですけど、勝つことができていない。初戦突破のために良い準備をして、一戦必勝でいきたい」と意気込んだ。第83回大会以来となる勝利に向け、北海イレブンが諦めない強い気持ちを胸に、全国の舞台で〝3度目の正直〟を果たしてみせる。