男子3年ぶり優勝の駒苫主将はスラダン井上雄彦氏の次男・慶邦【ウインターカップ北海道予選】
■全国高校バスケットボール選手権北海道予選最終日(11月12日、小樽市総合体育館)
▽男子決勝リーグ 駒大苫小牧80-55札幌工業、駒大苫小牧85-63東海大札幌高
東海大札幌高にリベンジし 決勝リーグ全勝優勝
男子は、駒大苫小牧がブロックトーナメントから5戦全勝で3年ぶりに頂点に立った。同じ顔合わせとなった6月のインターハイ北海道予選決勝リーグでは東海大札幌高に大差で敗れ、得失点差で全国切符を逃していたが、そのリベンジを果たした。2位の東海大札幌高とともに12月23日に東京体育館などで開幕する本大会に出場する。
主将は「僕らのチームのMVP」と指揮官
夏に大敗した相手と2勝で並び、最後の試合前には2年ぶりの全国切符を確定させていたが、駒大苫小牧は最後の最後まで攻撃の手を緩めずに完全優勝を成し遂げた。3年ぶりに胴上げで宙を舞った田島範人ヘッドコーチ(48)は「気持ち良かった」と3度目の本大会出場を喜んだ。その指揮官が「彼がいたから今のチームがある。僕らのチームのMVP」と絶賛したのが、背番号14のSG井上慶邦主将(3年)だ。
父に「やったよ!」って伝えたい
井上はバスケットボール漫画の金字塔「スラムダンク」の作者・井上雄彦さんの双子の次男。3年前の道予選初優勝の試合を見て「泥臭い部分や、粘り強いディフェンスがチームカラーだったので、すごい自分に合ってるなって感じて決めました」。東京から、能代工業(現・能代科学技術)出身の指揮官の下でバスケを学んだ。自身が北海道に来てからの3年間では初めての優勝に、「うれしいのひと言に尽きます。いろんなことがあった3年間だったんで、この優勝は自分たちもすごく大きいです。父には『やったよ!』って伝えたい」。ゲームセットの瞬間は涙を流しながら同級生らと何度も抱き合った。
試合に出ていない時もチームを引っ張る
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試合でのプレー時間は少ないが、声で選手の背中を押し続けた。この日の決勝リーグ2試合では、札幌工業戦での途中出場のみだったが「誰よりも声を出して、暗くなった時は自分が一番声を出す。プレーしている時も、していない時もチームを引っ張るつもり」。
持ち味は守備と3点シュート
シューティングガードとしても、いつでも出場できるように準備している。持ち味は守備と3点シュート。「ディンフェスの部分とか、スリーも出た時は決めた。これを全国の舞台でも出せるように練習を続けていきたい」。憧れは、同じポジションで父の作品に出てくる人気キャラクターの「三井寿」。入学時に与えられた背番号は、偶然にも作品内で三井が背負っている「14」。「憧れです。三井とか(B1三河の)金丸とか、14番のシューターは多い。14番が付いた時には、それはうれしいなって思いました」。
時には練習中に言い合いになることも
同期は28人と大所帯。意見の食い違いは一度や二度ではなかった。時には練習中に言い合いになることもあったという。今春には約3カ月の監督不在の時期があったが、井上主将が中心となりミーティングを繰り返し、難局を乗り越えてチーム一丸となった。「何より3年生が最後まで腐らず、練習の1秒も無駄にしないで取り組んできたことが勝因」と明かす。
ゲームキャプテンからも絶大な信頼
チーム2番手の21点をマークしたゲームキャプテンの滑川凌空(3年)は「コート内のことは自分が責任を持ってやってるけど、それ以外のことは(井上)慶邦に頼っている」と、チームメートからも絶大な信頼を得ている。
全国の目標はベスト8
2年前は先輩に連れて行ってもらった全国の舞台。スタンドから見た景色は目に焼き付いている。「チームとしてはベスト8を達成したい。個人では、スポットでここで点が欲しい時に確実に決めれるように、これからもシューティングを続けていきたい」。北の大地で成長した主将が、高校最後の冬に地元で全国デビューを果たす。