ファイターズ
≪2021F検証㊥≫ 悪循環生んだ主力陣の不振
栗山監督にとって大きな誤算だったに違いない。主力陣の不振だ。昨季、打線の中心として働いた打者が、ことごとくスタートダッシュに失敗した。4月終了時点の打率は近藤が・258、渡辺が・250、大田が・229、西川が・208、中田が・198だった。
打つべき人が打たないと、当然白星は付いてこない。同じく4月終了時点の勝敗は9勝16敗4分け。29試合を終わったばかりだったが借金は「7」。最下位に沈んでいた。
思うような結果を残せない焦りが、負のスパイラルを生んだ。栗山監督も開幕当初を「何か責任を感じて、結果を出さなきゃいけないって、どんどんみんな(の打撃が)縮こまっていく。本当に小さくなり過ぎている感じ」と振り返る。
エース・上沢もチーム状況の悪さを十分すぎるほど感じていた。「序盤から苦しい状況が続いて、試合中のエネルギーがAクラスにいるチームとは違った」と話す。
投打がかみ合わなくなった理由について昨季主将を務めた西川は、「それぞれの役割がある中で、その人の仕事じゃない仕事までしようとしだしたら、歯車が狂っちゃう。チームとして成り立たない」と分析していた。主力としての責任感が空回りして悪い方向に働き、普段通りの打撃に徹することができなかった。
それでも今季は浅間や高浜、野村といったフレッシュな面々が光を見せた。その上で、レギュラーを務めてきた主力打者がしっかりとチームの進むべき方向性を示すことができれば、攻撃の歯車はがっちりとかみ合っていくはずだ。