《岩本勉のガン流F論》特別編 そんなことが!? いろいろあった昔のプロ野球
今だからこそ話せる プロ野球界の今昔
日本ハムでエースとして活躍し、現役引退後も人懐っこいキャラクターと天性のトーク技術で人気を集める「ガンちゃん」こと岩本勉さん。忖度(そんたく)なしの直球解説は、試合があってもなくても健在だ。オフシーズンの今、あらゆる角度からプロ野球界の今昔を語る。今回のテーマは、岩本さんが現役時代に見聞きした球界の〝事件簿〟。そして自らも告白した。ガンちゃんがグリーンスタジアム神戸の通路で土下座!?
不人気だったパ・リーグ 何でもアリ!? なスタンド
私の現役時代、同じプロ野球でも、パ・リーグの人気は低かった。それはセ・リーグとは比べものにならないほど。観客はいつも、まばら。特に外野席は閑散としているのが当たり前。時に、今では考えられない光景が球場内に広がっていた。
強者現る! マージャンに流しそうめん
カップルが2人の時間に没頭するのは日常茶飯事。マージャン卓を持ち込んで、勝負に興じる方々もいた。それ以上の強者も。雨どいとバケツ、ヤカンでスタンドに即席の流しそうめんセットを製作。試合中に堪能する学生のあんちゃんたちには恐れ入った。出入り口で、チケットのもぎりをしていた人間は何してたんやって!(笑)。入場の際に注意せなアカンで!(笑)
笑わずにはいられない キレキレのヤジ将軍
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そんなわけで、ヤジもよく通る通る。パ・リーグにおけるプロ野球シーズンの一つの風物詩にもなっていた。また、有名なおっちゃんがいて。ヤジ将軍ってあだ名で、関西の球場では有名やった。一つ一つにしゃれが効いていて、ユーモアがあった。
これは近鉄から日本ハムに移籍してきた先輩に聞いた話。ある選手が打席に入ると、ヤジ将軍が「〇〇(選手名)~、きのう〇〇電器で買い物しとったなぁ~」。ある選手が打席を外す。一息ついてバッターボックスに入り直すと、「クーラーと冷蔵庫を買うたらしいなぁ」。動揺したのか、またタイムをかける。そして畳みかける。「プロ野球選手のくせに、月賦で買うな!」。球場は大爆笑。図星だったらしく、その選手はさっさと初球を打って内野ゴロ。ベンチへ、そそくさと戻って行ったとさ。
大沢親分も標的に 忘れられない藤井寺球場でのエピソード
元日本ハム監督の大沢(啓二)さんも、ヤジ将軍から食らった。それは私もしっかりと耳にした。ベンチを出て、審判の判定にクレームをつけていた大沢さん。そこで一言だ。「大沢~、こんな時だけ出てくんな~」。ベンチでどっしりと構える印象があった大沢さん。今はなき藤井寺球場での一コマ。ハッキリと覚えている。
中継試合は長くなりがち
そんなこんなで、昔のパ・リーグ選手は生中継となると張り切った。そういう日は決まって試合時間が長くなる。ネクストバッターズサークルから、バッターボックスに入る際のストレッチが長い。みんな少しでも長く中継に映ろうと必死だった。よく、アンパイアが「早く入って!」と促しとったもんなぁ。
まさかの大失態! ガンちゃんがセクハラ!?
個人的には1つ。今でも冷や汗が出る事件があった。いや、あれは事故や。ある日のグリーンスタジアム神戸。私はその日、上がり(翌日の先発に備えて試合前、もしくは途中に球場を出ること)だった。そこにオリックスのマスコットが通りかかった。勝手に男性生命体と思い込んでいた私。驚かそうと、いたずら心で後ろから胸をギュッとわしづかみした。そしたら「キャー!」。女性生命体だった!その場で、土下座して謝りましたわ。そらぁ、頭を地面にこすりつけて。心の広い生命体で、許してくれたけど、あれはホンマに焦ったわ。
画期的な取り組みだったエスコン秋季キャンプ
そんなこんなで、いろいろあったひと昔前のプロ野球界。今ではパ・リーグの人気もセ・リーグに引けを取らない。満員のスタンドを見ると、感慨深いものがある。日本ハムでいえば、先の秋季キャンプ。観客を入れて行った。素晴らしい取り組みだ。連日、1万人を超えるファンが来場した。一石二鳥、いや三鳥、四鳥。ファンはオフシーズンもプロのプレーを見ることができる。選手は緊張感がある中で練習でき、レベルアップに拍車がかかる。スタジアムグルメも売れ、経済も回る。
これからも楽しみなプロ野球
進化を続ける選手たち、プロ野球界。プレーで、パフォーマンスで、これからもファンを魅了していってもらいたい。