【赤黒戦士、シンジを語る】⑥MF宮澤裕樹 驚きとワクワクがすごかった
北海道コンサドーレ札幌の選手たちが語ってくれた証言から〝天才〟MF小野伸二(44)の素顔に迫る特集「赤黒戦士、シンジを語る」第6回は、2014年の札幌初移籍時から共にプレーしてきたMF宮澤裕樹(34)。クラブ生え抜きのバンディエラが7年間見続けてきた姿とは。
「寂しい、残念。特別な時間だった」
小野の現役タイムリミットがいよいよ近づいてきている。23年9月の引退発表を受け「やっぱ寂しい気持ち、残念な気持ちがあります。当たり前のように一緒にプレーさせてもらっていましたけど、やっぱり特別な時間だったなと。残りの短い期間、よく楽しむってシンジさんが言っているんですけど、一緒に楽しめたら、共有させてもらえたらなって思いは強いですね」。
「物心ついた時から活躍されている選手」
小野が加入した当時のメンバーで、今も札幌でプレーを続けているのは宮澤とMF荒野拓馬(30)、MF深井一希(28)の3人のみになった。当時の宮澤は室蘭大谷高から加入してプロ4年目。まだ主将になる前の若さあふれる21歳。「物心ついてサッカー始めた時から活躍されている選手。同じサッカー界にいたとしても自分が代表に入るレベルにならないとサッカーできないような選手ですし、そういうテレビで見ていた選手が札幌に来てくれるって驚きとワクワクがすごかった」と、9年前に思いを馳せる。
「プレーする喜び、楽しさを教えてもらった」
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ポジションも同じMF。プレーでは多くの事を学んだが、その根本は至ってシンプルだ。「サッカーを楽しむってところですよね。原点じゃないけど、サッカーが職業になって、競争があって、結果を出していかないといけない世界。その中でも常に周りを笑顔にできるようなプレーだったり、プレーする喜び、楽しさを教えてもらった。よく食事もさせてもらいましたし、お酒も飲ましてもらいました」。ピッチの内外で一緒に過ごし考え方や生き方を目の当たりにしてきた。
思うように体が動かない苦しさは十分分かる
今年は長年の〝勤続疲労〟でコンディションがなかなか上がらずリーグ戦出場はないが、10月に入って全体練習に合流。「見てるだけであれだけ人を魅了するサッカー選手っていない。それを間近で見られて、一緒にやる楽しさは感じます。まだ足は痛そうですけどね」。自らも右足のアキレス腱痛を抱えるだけに、思うように体が動かない苦しさは十分すぎるくらいに分かっているつもりだ。
「最後のプレーをいい形で終えるように全力を尽くしたい」
12月3日の最終戦は日本サッカー界の志宝を送り出す特別な試合になる。「まずは、見に来てくれるお客さんがいますから、その人たちへ勝利を届けることにベストを尽くしたい。その中でシンジさんがピッチに立つ時間が来ると思いますから、チームとしていいバトンを渡せるように。ピッチでその時間を共有して、最後のプレーをいい形で迎えられるように。そして終えるように全力を尽くしたい」。有形無形、たくさんの財産を残してくれた功労者に報いるためにも、最高の舞台を作って送り出す。