【赤黒戦士、シンジを語る】⑤DF福森晃斗 小野のラストゲームでやってみたいこと
北海道コンサドーレ札幌の選手たちの証言から〝天才〟MF小野伸二(44)の素顔に迫る「赤黒戦士、シンジを語る」。第5回は、小野に勝るとも劣らない技術と威力を兼ね備えた左足を武器とするDF福森晃斗(30)。札幌で通算8年間を共にした稀代の天才の姿を福森はどう見ていたのか。
15年、稲本ともに川崎から移籍
福森は2015年に川崎から期限付き移籍で札幌に加入したが、当時もう一人、川崎から札幌へ移籍を決断した選手がいた。小野と共に〝黄金世代〟のトップランナーとして日本サッカー界をけん引してきたMF稲本潤一(44)だ。「最初ゴールデンエイジ世代のイナさんと川崎で一緒(11年~14年)にやっていて。同じタイミングでイナさんと一緒に札幌来ることになって、そのチームに伸二さんがいて」。
1年前に札幌に加入した天才
稲本と福森の加入から遡ること半年前の14年6月に小野が札幌に加入。小野と稲本が同じクラブに所属するのは初めてで大きな話題になった。その当時を振り返り、「夢のような感じでした。テレビで見てた人たちだったので。年齢は重ねていましたけど、すごい方々と同じピッチでボールを蹴って、一緒に試合に出られるワクワク感がありました」と、自身も憧れていた黄金世代の主力たちと共にプレーできることへの喜びを語った。
「見倣ってもマネできない」技術
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チームメートとして一緒に活動していく中で、「ピッチ内にいる選手誰しもが考えないようなプレーをしたりとか、味方であっても逆を取られてしまうようなパスだったりというのを間近で見て、違う世界にいるんだなという感じがしました」。改めて小野のすごさを実感したそう。
特に自身も得意とするキックの技術面について「味方が合わせやすいような柔らかいボールを蹴るときもありますし、相手に触られない鋭いパスを出すことも。それを両足で蹴ることができる。自分は左足でしか蹴れないので、そこは本当にすごいと思います。自分には持っていないキックの種類を蹴ることができますし、見倣ってもマネできないものなので。自分もキックには自信がありますけど、すごく勉強になっています」と最大級の賛辞を贈る。
ラストゲームのFKキッカーは?
12月3日に控える小野の現役ラストゲームとなる浦和戦。既にチケットは完売しており、超満員の大観衆が札幌ドームに詰めかけることが予想される。「自分も同じピッチでプレーしたい」と語る福森には小野と最後にやってみたいことがあるという。
「欲を言えば、直接ゴールを狙えるFKの場面で横に立って『どっちが蹴るか』っていう話をしたいですね」。
17年7月の大宮戦のFKシーンをもう一度
同様の場面で思い起こされるのが、現在まで札幌がJ1に定着し続けている中での一つのターニングポイントとなった17年7月8日のアウェー大宮戦(NACK、2△2)だ。2点ビハインドの後半36分にペナルティーエリア手前で得たFKでボールサイドに立った小野と福森。小野が少し動いてフェイントを入れた後に福森が左足でボールをゴールへと叩き込み、劇的な同点劇への序曲を奏でた。あの感動が蘇るシーンが札幌ドームのピッチで再び繰り広げられることに期待したい。