■１１月２１日、札幌・宮の沢白い恋人サッカー場

プロ入り前から見ていた先輩の引退にショック

　北海道コンサドーレ札幌は、２５日のアウェーＦＣ東京戦（味スタ）に向けて全体練習を再開した。札幌にも所属していた広島の元日本代表ＧＫ林卓人（４１）が２０日に今季限りでの引退を表明。２０２０年から３シーズン、広島で同僚だったＭＦ浅野雄也（２６）は「寂しいですね。Ｊリーグを見ていたときから（林）卓人さんが出ていた。朝一でニュースを見てショックを受けました」と残念がった。今季はキャリア初となるＪ１での２桁得点も記録した浅野が、先輩からの言葉を胸にさらなる飛躍を目指す。

０５、０６年は札幌の守護神

　偉大な先輩が、今季終了と当時にピッチを去ることになった。０５、０６年に札幌の守護神を務めた林が、２０日に現役引退することを発表した。日本代表にも招集されたことのあるベテランＧＫと、浅野は広島でチームメートの間柄。「時には厳しいことも言ってくれましたけど、一番は姿勢で若手に示してくれた。全選手が卓人さんのような姿勢になるべき。サッカー選手として在るべき姿。チームがうまくいってないときに締めてくれるのは卓人さん。チームの雰囲気を良くしてくれたのも卓人さんだった」と、チームをけん引してくれた姿を忘れることはない。

ＧＫ目線でシュートのアドバイスも

　林のＪリーグ初出場は広島時代の０２年１１月３０日の札幌戦だった。その後、０５年から札幌に完全移籍で加入するなど、札幌にも縁のあった選手だ。「いろんな経験をしてきて、本当にすごい方」と尊敬の念を込めた。年齢がひと回り以上離れていることもあり、プライベートでの付き合いは少なかったが、「いろんな人を気に掛けていた。『シュートのタイミングはこうした方が良い』ということも言ってもらった」とＧＫ目線でのストライカーに対する助言も授かっていた。

ボーフムの兄も広島でチームメート

　近年はベンチを外れることも少なくなかったが、練習を怠るようなことは一切なかったという。「練習前、練習後の準備とケアというところは人一倍時間をかけてやっていた。今の若い選手に喝を入れてくれる選手でした」。ドイツ・ブンデスリーガのボーフムに所属する浅野の兄・拓磨（２９）も広島で林とチームメートだった。「お疲れさまでした。兄弟でお世話になりました」と惜別のメッセージを送った。ポジションは違えど「尊敬する先輩」の魂を受け継ぎ、自らのさらなる成長につなげる。