DF中村桐耶2アシスト、FW大森真吾J初ゴール 〝同級生コンビ〟が札幌に逆転勝利もたらす
■J1第33節 FC東京1-3札幌(11月25日、東京・味の素スタジアム)
北海道コンサドーレ札幌の未来を担う若き同級生コンビが活躍を見せ、今季アウェー最終戦の勝利に大きく貢献した。
中村は後半開始から途中出場
まずはDF中村桐耶(23)だ。この日は3試合連続となるベンチスタートとなったものの、1点ビハインドの後半開始時からDF福森晃斗(30)に代わってピッチに投入された。「いつも通りサイドチェンジのところだったり(ボールの)運びのところを意識するように言われました」と、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督(66)の期待に応え、後半3分に自陣からドリブルで相手ペナルティーエリア手前まで攻め込んでミドルシュートを放ち、いきなり見せ場をつくり出す。
後半6分、浅野の同点アシスト
そして同6分。MF浅野雄也(26)から左サイドに展開しMFスパチョーク(25)を経由して中村にボールが渡ると、ダイレクトでペナルティーエリア内へ斜めの鋭いスルーパスを蹴り込んだ。そのボールをスペースへ走り込んでいた浅野が左足でゴールへ流し込み、札幌が試合を振り出しに戻す。「1点目のアシストに関しては、今年トライしていた中でうまくいってなかったボールで。ああいうのはフクさん(福森)が得意とする形なので、ああいう形で自分が(得点を)演出できたのは良かったですし、あれを当たり前にできるようにしたいです」。
同12分、小柏の逆転ゴールと連続アシスト
この記事は有料会員限定です。
登録すると続きをお読みいただけます。
逆転ゴールを演出したのも中村だった。同12分、左サイドでMF駒井善成(31)からのパスを受けると、ワントラップ後ゴール前へグラウンダーのクロス。走り込んだFW小柏剛(25)の6月3日アウェー柏戦以来となる今季6得点目をアシストした。「今シーズン結構ああいう形でクロスを上げられていたので、それがやっと得点につなげられて良かったです」。躍進を果たした今季、リーグ戦出場30試合目で、背番号6がチームの勝利を大きく引き寄せる大仕事をやってのけた。
大森「1点取れたのは本当にうれしい」
そして札幌の勝利を決定づける3点目のゴールを決めたのがFW大森真吾(22)だ。ピッチに投入されたのは後半アディショナルタイム1分。その3分後に結果を出してみせた。前掛かりとなって攻めるFC東京からボールを奪ったDF田中駿汰(26)が前線へロングボールを蹴る。相手の中途半端になったクリアボールに大森が先に反応し、GKが前に出たためがら空きだった相手ゴールへダイレクトで右足を振り抜いた。相手GKのはるか頭上を越えた山なりのボールはノーバウンドでゴールマウスへ吸い込まれた。大森にとって記念すべきプロ初ゴール。「(GKの動きが)見えて、GKが出ているなと思ったので、迷いなく振り抜きました。0で(シーズンが)終わるより、1点でも取って終われた方が絶対に良かったので、1点取れたのは本当にうれしいです」とゴール場面を振り返る。
志願のPK失敗で自信喪失
大学屈指のストライカーとして鳴り物入りで今季から札幌に加入。だがキャンプ中に古傷だった右脛骨を疲労骨折し、約半年にわたり戦線離脱。夏場から試合出場の機会を得られるようになったが、9月10日のルヴァン杯準々決勝第2戦のアウェー横浜M戦では自ら立候補したPKを失敗。その頃には「今は(自信が)ないです。自信を持ってプレーできないとサッカー選手は全くいいプレーができないと思う」と、プロの壁にぶち当たり弱音を口にすることもあった。
「やっと(チームの)一員になれた」
それでも諦めることなく地道に日々のトレーニングと向き合い続けた姿をペトロヴィッチ監督はしっかり見ていた。前節のホーム広島戦は攻撃陣の主力たちが揃ったためベンチ外となったが、この試合で2試合ぶりにメンバー復帰。今週の練習では「出るチャンスがあれば、ものにできるようにしていきたい」と語り、たくましさを身につけた大森が言葉通りの成果を出した。「やっと(チームの)一員になれたというか。いろいろな人にアドバイスもしてもらって期待もしてくれていた。それに応えなきゃという思いはずっとあったので、一つ結果が出たのは良かったです」。
練習参加時の小野の対応が加入のきっかけに
今季も残すところ1試合。12月3日の浦和戦はMF小野伸二(44)の現役ラストゲームとして注目を集めている。最終戦に向け大森は「伸二さんには本当にお世話になっていますし、練習参加で札幌に来た時に伸二さんに声をかけていただいて、それが札幌に決めたきっかけの一つでもあったので。その後加入してからもずっといろいろなアドバイスをしてくださってますし、伸二さんは感謝してもしきれない存在だと思います。そういう偉大な選手の最後を勝利で飾れるようにまた結果を残せればと思います」と、小野のためにも勝利をつかみ取ろうと強い気持ちを見せる。日本サッカー界の屋台骨を支えてきた小野のラストゲーム。その試合で再び次代を担う2人の若武者が躍動を見せ、天才の花道を飾ってみせる。