北広島市役所の150キロ右腕・早川太貴投手がNPB2軍参入のハヤテ223入団決定
11月初旬にトライアウト受験
北広島市役所に勤務する最速150キロ右腕の早川太貴投手(23)が、来季NPBウエスタン・リーグに参戦する新球団・ハヤテ223に入団することが決まった。今季までプレーしたクラブチームのウイン北広島を退団し、11月3、4日に本拠地となる静岡県内で行われたトライアウトで合格を勝ち取った。元NPB投手も所属するハイレベルな世界で結果を残し、来年のドラフト会議で12球団からの指名を目指す。また、北海道関連では今季までBC茨城に所属した札幌白石高出身の村上航投手(23)の入団も発表された。
「エスコンにはプロになるまで入らない」
公務員の安定より幼い頃から憧れてきたプロ野球選手の夢を選んだ。1月中旬にチーム合流するため、年明け早々に約2年務めた市役所を退職する。「年齢的にもやっぱり来年が本当に勝負だと思って行きます。市役所の人たちにはこんなによくしてもらってる中で迷惑かけての退職になるので、日本ハムに入れれば一番いいんですけど、それ以外でも選んでくれるなら」。今春、市役所のすぐ近くに開業した日本ハムの本拠地・エスコンフィールド北海道にはプロになるまで入らないと誓った。その誓いを解禁するため静岡での挑戦が始まる。
ドラフト指名されず即決断
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新球団のトライアウト開催を知ったのはドラフト会議の約1週間前。10月9日に行われた巨人のトライアウトも受験していた。同26日のドラフト会議当日は地元・江別市内のジムでトレーニング。「ドラフトがダメだったら、すぐハヤテの方に応募してトライアウトを受けようと思ってた。それに向けて準備が遅れないようにトレーニングしてました」。12球団からの指名はなくトライアウトに照準を絞った。
プロ経験者ら約100人が受験
当日は元NPB経験者や独立リーガーら約100人が参加した。投手陣は1日目、ブルペン投球でふるいにかけられたが、早川は自己最速タイの150キロをマークして翌日の2次テストに駒を進めた。2日目は打者4人に実戦形式で投球。結果は三振、三振、遊ゴロ、中前打と4打数1安打。「4打席の中で自分の持ち味を出さなきゃいけない中で、僕は自信を持っているストレートでちゃんと勝負できた。三振2つも最後ストレートで取れたので、自分でできることはやった」。北海道に戻って数日後、携帯電話に入団内定の吉報が届いた。
「やってきたことが間違ってなかった」
小樽商大卒業後の22年、北広島市役所に入り、硬式と軟式を兼用する異色の二刀流に挑戦した。同年オフには自己最速の150キロをマークし日本ハムなどから注目を浴びた。ところが、冬の間の練習で右肘に疲労がたまり今春以降調子を落とした。さらに胃腸炎にもかかり体重は激減。思うような投球を披露することができなかった。「結果も全然残せないシーズンで、自分の実力が本当にメディアに取り上げられる程のものがあったのかとか不安なところもあった。でも、トライアウトで同じような立場でプロを目指して今年指名がなかった人とかが参加する中で合格だったことで、やってきたことが間違ってなかったというか目標に向けて進んでいたことが実感できてうれしかった」と喜びをかみしめた。
同年代、北大卒の西武・宮澤投手に対抗意識
刺激を受ける投手がいる。独立リーグ・徳島インディゴソックスから西武5位で指名された最速155キロ右腕・宮澤太成投手(24、北海道大4年)だ。同学年で小樽商大時代に札幌6大学2部リーグで何度も対戦。「大学時代から向こうの方が球も速かったし、タイトルとかも結局全部取られてるので向こうの方がレベルは高かった。今、155キロになったのは野球漬けの1年を送れたのが大きいのかな。向こうは多分、全然覚えてないと思うんですけど、自分の中では一番意識する相手。向こうはドラフトにかかっているので、来年なんとしてもかかりたいなってのはあります」。今度は自らも野球に集中できる環境で、さらなる成長を遂げるつもりだ。
「ドラフトで選ばれた選手たち相手に通用するなら…」
ウエスタン・リーグの日程は発表になっていないが、年間の試合数はこれまでとは比べものにならない。若手や2軍で調整中のバリバリの1軍打者相手が想定される。「今のレベルから一気に上がったところで投げるようになる。トライアウトしか投げてないので、どこまでできるかまだ未知数で楽しみ。2軍といえどドラフトで選ばれた選手たち相手に通用するなら(ドラフト指名に)一歩近づくのかな」。自慢の剛速球に磨きをかけ、今度こそ12球団のスカウトを振り向かせてみせる。
ウイン北広島で硬式、北広島市役所で軟式球扱う二刀流
■プロフィール 早川 太貴(はやかわ・だいき)1999年12月18日、江別市生まれ。大麻泉小3年時に東大麻グランドキングスで競技を始める。大麻高では全道大会出場なし。小樽商大卒業後の22年に北広島市役所入り。クラブチームのウイン北広島で硬式野球を続ける傍ら、昨年は北広島市役所職員として軟式の全日本自治体職員等野球選手権で準優勝に貢献し敢闘賞を受賞。今春からは硬式に専念した。直球の最速は150キロ。変化球はスプリット、カットボール、カーブ、ツーシーム。185センチ、97キロ。右投右打。家族は両親と弟。