ファイターズ
《ハム番24時》11月28日
口にする言葉に、心の優しさがにじみ出る。契約更改後の会見に臨んだ江越のコメントを聞いているうちに、こちらまで胸が温かくなった。
来季の目標を問われると、少しだけ間を置いて口を開いた。「去年まで所属していた阪神タイガースが日本一になった。テレビやSNSで映像を見て、選手はもちろん、裏方さんが喜んでいる姿が印象的でした。ファイターズでも来年、裏方の人に喜んでもらえるように優勝したい」と真剣なまなざしを向けた。
記者はすぐに、シーズン中に打撃投手の押本さんが語っていたエピソードを思い出した。ベンチ裏で打撃練習などを行った後には当然、ボールが散乱する。ミーティングやトレーニングに忙しい選手を思いやり、スタッフの押本さんは「あとは拾っておくよ」と声をかけるが、江越はいつも「大丈夫です。自分もやります」と、最後の1球までボールを拾い集めるという内容だった。
身近な人を気遣い、喜ばせようとする性格はきっと、昔から変わらないのだと想像する。あらためて江越に、会見での言葉の真意を尋ねると「今年、阪神が日本一になった時の映像を見て思ったので…。前から思っていたわけでは、ないかもしれないです」と照れ笑いを浮かべた。ワイルドな風貌とのギャップに、また魅せられた。