《荒木大輔のズバリ解投》特別編 忘れられないバッター、対戦を回顧 記憶に残る打者・新庄
ドラフト1位でヤクルト入団 数々の好打者、強打者と対戦
早稲田実業のエースとして甲子園を沸かせ、全国に「大ちゃんフィーバー」を巻き起こした荒木大輔さん。卒業後はドラフト1位でヤクルトに入団した。プロでは右肘にメスを入れるなど、度重なるけがに悩まされたが、開幕投手を2度務め、1987年には2桁10勝をマーク。93年の日本シリーズ(vs西武)では初戦に先発し、勝利投手となり、ヤクルトの日本一奪取に貢献した。プロ生活14年。多くの好打者、スラッガーと向き合ってきた。記憶に残るバッター、忘れられない対戦を振り返った。印象深い打者に新庄監督の名も挙げた。
憧れだった原辰徳との対戦
まず頭に浮かぶのが原辰徳さん。年は6つ上で、プロ入り前の東海大相模(高)の時から、憧れの存在だった。あの原さんと対戦できる。モチベーションの一つだった。打者としては当然、気の抜けない相手。甘く入ると、しっかりとスタンドに運ばれる。対戦成績(64打数17安打の打率・266、5本塁打12打点)以上に、要所でホームランを打たれた印象がある。
逆に、インサイドを意識させ、アウトコースからボールになるスラーブをきっちり投げ切れた時は抑えることができた。何より、憧れだった原さんが真剣に勝負してくれているのがうれしかった。
脅威だったバース、掛布、岡田のクリーンアップ
巨人と同様に、阪神打線も脅威だった。バース、掛布、岡田のクリーンアップはもちろん、中軸以外にも、真弓さんら好打者が揃っていた。ただ、阪神を18年ぶりのリーグ制覇、38年ぶりの日本一に導いた岡田さんとの相性は悪くなかったはず(56打数8安打の打率・143、1本塁打5打点)。バースには、よく打たれた(50打数16安打の打率・320、7本塁打12打点)。痛打された記憶しかない。
嫌な印象しかないミスター三冠王
バースと同じく、嫌な印象しかないのが、中日と巨人に在籍していた時の落合さん(36打数14安打の打率・389、4本塁打10打点)。バースにも言えることだが、2人ともパワーと、広角に打ち分けられるテクニックを兼ね備えていた。こういうバッターを抑えるには力のあるボール、多少の強引さが必要。私は剛速球を持っているわけではない。2人には変化球でかわす投球が通じなかった。技術の高い打者といえば、篠塚さん(75打数28安打の打率・373、1本塁打8打点)もいいバッターだった。