鎌ケ谷スタジアムに向かう途中、新鎌ケ谷駅でばったり、大きなスーツケースを持った山口アタルと会った。聞けば、自主トレのため米・フロリダに旅立つという。「めちゃくちゃすごい施設がある。生まれ変わってきます」と鼻息荒く意気込んでいた。

　カナダ生まれの育成３位ルーキーは今季、初挑戦の日本野球に適応しようと、懸命に奮闘した。２軍戦では、３６試合に出場し、打率.２３５、２本塁打、８打点。身体能力を生かした力強いスイングは、数字以上のインパクトを残した。７月に左膝の手術を行い、現在は長期離脱中だが、リハビリは順調。来季中の支配下昇格を虎視眈々（たんたん）と狙っている。

　勉強熱心で好奇心旺盛な２４歳。母国語は英語だが日本語もすっかり上達し、この日の去り際には「よいお年を」と、年末恒例のあいさつもバッチリだった。米国滞在は約１カ月の予定。「帰って来たら、良い記事たくさん書いてくださいね」と人懐っこい笑顔でお願いされ、帰国後の取材が楽しみになった。