鍵谷が抱く夢「寅威とバッテリーを…」ライバル物語は再び、北の大地へ
まずは支配下復帰が目標
今オフ育成契約で日本ハムに復帰した鍵谷陽平投手(33)が11日、千葉・鎌ケ谷の2軍施設で自主トレーニングを行った。来季12年目を迎える右腕は、支配下復帰を第一目標に、黙々と爪を研いでいる。チームには高校時代からライバル視した伏見寅威捕手(33)も在籍。支配下を勝ち取った先には、ファン待望の道産子同学年バッテリー結成が見えてくる。
鎌ケ谷の施設変わらずストレスフリー
鎌ケ谷で送るトレーニングの日々にも、すっかり慣れてきた。5年ぶりに古巣へ戻った鍵谷は「選手、スタッフを含めてメンバーが若くなって印象は違うけど、施設は変わらないのでやりやすい。5年も経って古くなった感じがするけど、ストレスなくできています」と爽やかに汗を拭った。
「1から挑む気持ちで」
培った豊富な経験を武器に、心機一転リスタートを図る。「戻って来たけど、その感覚ではいないように。しっかりと1から挑む気持ちでやっていかないと。育成契約なので一番下からのスタート。ここからまたプロ野球の世界に戻れるように」と、ルーキーさながらの気持ちでチーム内競争に挑む覚悟だ。
セ・リーグ経験して投球スタイルに変化
セ・パ両リーグに身を置いたことで、投球の幅は格段に広がった。前回のファイターズ所属時は、豪速球を武器に打者をねじ伏せるパワータイプの投手だった。一方、巨人時代は右ふくらはぎを肉離れした影響もあり、投球スタイルに変化が生じた。
故障で落ちた球威、球速を復活させたい
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「今は細かく動かしたり、いろいろな球種を使う。そこは巨人で求められたし成長できたところ。それを生かしつつ、若い頃のように直球をしっかり投げられるように見直したい。ケガをしてしまって球威や球速を戻し切れていないので。現代野球で一番求められる中継ぎのスタイルは、圧倒的なストレートで押して、落とす。それを目指しつつ、今まで培ったものを味付けしたいですね」
伏見とは北海、東海大四時代からのライバル
支配下復帰と同時に狙うのは、青春時代からしのぎを削った伏見とのバッテリー結成だ。2人は強豪校の北海と東海大四(現東海大札幌高)で高校時代から名を馳せ、2008年の道球界を盛り上げた。鍵谷は当時から「一番のライバルが東海大四だと思っていた。そこの一番いい打者が寅威。もちろん最後の夏も当たると思って練習していた」。ラストサマーの直接対決は実現しなかったが、常に対抗心を燃やしていた。
伏見のプロ初安打は鍵谷から
その後も両者は大学で力を蓄え、2012年ドラフトで同時にプロの世界の扉を開いた。2013年4月29日には、伏見にプロ初安打を献上するなど野球人生の節目で互いの存在を意識してきた。
「また皆さんに喜んでもらえる」
「まさか同じチームになるとは(笑)。同じドラフト3位で入って、こうやって一緒に野球ができるチャンスがあるのは楽しみ。北海道出身の選手がエスコンでバッテリーを組めば、また皆さんに喜んでもらえると思う。まずは2桁の背番号を勝ち取って、公式戦で寅威とバッテリーを組めれば一番良い形かな」
不思議な縁で結ばれた2人が再び、北の大地を熱くする。長編の物語は、ロマンに満ちあふれている。