【一問一答】52クラブがシーズン移行支持も札幌は現段階では継続検討を支持 三上大勝GM「理解はそこまで進んでいない」
26ー27シーズン実施へ Jリーグ60クラブで投票
Jリーグは14日、東京都内で実行委員会を開催し、開幕を現行の2月から8月へ移すシーズン移行を2026-27年に実施するかについてJ1・J2・J3の全60クラブに意思を問う投票を行った。投票では『①シーズン移行の実施を決め、残された課題を継続検討する』『②現段階ではシーズン移行を決めず、数カ月の検討期間を目安に継続検討する』『③シーズン移行を実施しない。継続検討を行わない』の3択が示され、結果は①52クラブ、②7クラブ、③1クラブだった。最終的な判断は今月19日の理事会で決定する。
実行委員会後、北海道コンサドーレ札幌の三上大勝代表取締役GM(52)はオンライン上で道内メディアの取材に応じ、②の現段階ではシーズン移行を決めないことに投票したことを明かした。一問一答は以下の通り。
―コンサドーレとしての投票内容とその理由
今回のJリーグのアンケートの②にあたる『現段階ではシーズン移行を決めず、数カ月の検討期間を目安に継続検討する』ということで意思表明させていただきました。
既にクラブの考えとしてお伝えさせてもらっている通り、条件付きで、このシーズン移行に賛成しているというのは今も変わっておりません。なぜ賛成しているかということに関しましては、サッカー界という見方であれば当然、競技力の向上、さらにプレーヤーを含めた、サッカー界を取り巻くクラブのスタッフ、社員、そしてお客さんの安心、安全ということから考えての移行というものが必要ではないかと。今の日本の7月、8月というかなりきつい環境というのは、死にも繋がるかもしれないという懸念を持っていることから、サッカー界全体としてもシーズン移行というのは検討すべきだなと思っています。
もう一つは、カルチャーというような意味合いの中で、コンサドーレとしてはこのシーズン移行を機会に、降雪地域を中心に、日本全国で冬期間でもスポーツをする、見る、そういう機会の創出をする大きなチャレンジになるのではないか、チャンスではないかというところから、そもそもシーズン移行というものに関しては賛成をさせてもらっていますし、今日時点でもその考えは変わりません。
ただ、そういった中で(選択したのが)①の『シーズン移行実施を決め、残された課題を継続検討する』ではなかったのは、我々の「条件付き賛成」の条件というのは、まずは降雪地域等々を含めた試合を開催、練習する選手、もしくは見てくれるお客さんの環境を整備する、その目処をつけるということが大きな一つです。もう一つは、我々は自治体、パートナー企業を含めた、ファン・サポーターを含めた方々によって活動できていると思っているので、特にファン・サポーターに対するこのシーズン移行をすることへの理解が深くされることが条件です、ということを常に提案させていただいておりました。
一点目に関しましては、ある一定の財源をリーグとしても確約し、その財源を元にこういった形でやっていきましょう、というようなことで少し見えてきてますので、我々としてはまだまだそこに関しても継続審議、深掘り検討も必要だと思っていますけども、一定の条件はクリアできているなという判断をさせてもらっております。
もう一方の二点目。ステークホルダー含めた自治体、パートナー、そして何よりもファン・サポーターの方々への理解ということに関しては、この理解が進んでいるよと思われている方もいると思っていますし、それは人それぞれだと思っています。その中で我々北海道コンサドーレ札幌というクラブとしての考え方としては、その理解というのは、そこまで進んでいないだろう、というふうに今日現在で感じております。
よって、我々の考えている条件というものの二つ目がクリアできていないというところで言うのであれば、シーズン移行というものを今日の段階で決めるのではなく、継続審議の中にあるステークホルダーへの説明、理解、そういったものをもう少し深掘りをした上で、2カ月後、3カ月後等々、一つの目安に、改めてシーズン移行しましょうというような決議に向かっていくことの方が、より皆様方と同じ方向を向いて、もしシーズン移行に行くとしても、一枚岩になってやっていけるんじゃないかなというようなことを思い、②という回答をさせていただきました。
補足、余談になるかもしれないですけども、今と同じようなことを、実はこの実行委員会の中でも意見させていただきました。そういった中で、Jリーグおよび多くのクラブの方々も「そうだな」ということで賛同されていたんですけれども、Jリーグとしてもその理解が深まっているとは言い切れないという自覚はあって、「これをやらなければいけないとも思っています。でもJリーグなりにここまで半年かけて、例えばJリーグの公式YouTubeなどでシーズン移行の重要性を説いているようなことをされているように、やれるだけのことをやってきたけれども、今の現状です。ここからさらにその理解を深めるということを考えるのであれば、理事会等を含めて『もうJリーグとしてはシーズン移行するんです』というピン止め。このピン止めがあるからこそ、本気でいろんな方々に理解を求めていくエンジンになるんではないでしょうか」というリーグのご説明でした。
それを聞いて私自身も確かにその側面はあるなと感じていました。ただこれは良い悪いではなく、考え方、捉え方の違いだと思うんですけども、私としては先ほども言ったように、例えばスタジアムの日程確保の面だとか、その他もいろいろ協議しなければいけないことがあると思っています。
でもその中というのは、乱暴な言い方をすると、サッカー界だけでまあまあ話し合っていける話だと思っているんですね。なので、その中でもやはり外してはいけないのはファン・サポーター。ここの意見というものをやはり除外するわけにはいかないんじゃないかと。
なので僕としては、コンサドーレとしては、今までのクラブの在り方、考え方からも、まずはファン・サポーターにしっかりとある程度の理解、浸透というものがあった上での決議をする方がより良いのではないかという、そこの方法論の違いということで、先ほども申し上げた通り、我々は②という選択をさせていただきました。
―大筋の方向性が決まったことについての三上GMの率直な感想を
一つの方向性に対してまず決定していくということと、60クラブが『52対7対1』と結果的にはなっていますけども、その『7』であったり『1』であったりという、それぞれの意見を聞いていただいた上で、ある一定での方向性が出るということになると思っていますから、そういった意味では今回、サッカーファミリーと言われる各クラブが、それぞれの意見は違いますけども、ある程度のコンセンサスを得た、大きな一歩になったなと会議終了後に感じていました。
―降雪地域のクラブとして、今後のやり方について現時点でのイメージ、ビジョンはあるか
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先ほどお話しした通り、降雪地域を含めた日本全国で冬期間の中でもスポーツをする機会、見る機会というものを創出するという部分ではすごく大きなチャンスだと思っています。なのでこのシーズン移行が決まったということであれば、まずはそういった部分のハード面の設備等々に財源を確保していただきながら、例えば屋内練習場をつくっていく、札幌ドームというホームゲームを見る環境はある程度できていますけれど、開場前の待機列などを含めた見る環境の整備を含めて、そういったものをすることによって、我々のホームゲームも開催されていくと同時に、多くの北海道の子供たちが冬の期間でもスポーツをする機会というものを、つくった屋内練習場を開放することによって、その一端が少しでも担えるのではないかと思っていますので、それらをプラスにしていきたいですし、それを実行していきたいなと思っています。
また今回、もし本当にシーズン移行ということになれば、きっと6月、7月でチームが開幕前のキャンプをするということになると思っています。そうなると北海道というのは、キャンプ地の候補先としてすごく大きな可能性があるのではないかと思っています。そういったことを考えたときに、我々がリードをしながら、道内自治体と連携しながら、多くのクラブのキャンプを北海道内に誘致することができれば、いろんな地域で国内最高峰の練習、もしくは練習試合、選手、そういったものを道内、全道で見られることになる機会にもなると思っていますので、決まったのであれば、まずは積極的にそういったところから実現していきたいなと思っています。
―今季最終戦の浦和戦前の1週間は、降雪により宮の沢で十分な練習ができなかった。これまでの議論を経て三上GMは冬期間の練習にも対応できるという考えを持たれたか
現時点でのJリーグの考えおよび、その考えを聞いた上での私、クラブの考えとしましては、設備投資というところにある一定の予算、財源を確保していただいています。具体的にはエアードームというような形での施設、そういったものをということになっています。ですので、もしそういったものができるのであれば、現実的には人工芝の上にエアードームがあるという環境だとは思っていますけども、今シーズン残り1週間前にああいう降雪があったときの4、5日が、ある一定の条件、期間ということであれば、このエアードーム等々ができることによって、チームとしては準備活動というところが可能なのではないかというふうに思っております。
―お客さん等々の理解というを話されていたが、その明確な理解というものをどういう基準を持って、どういうふうに判断したいというのは三上GMの中で考えはあるか
本当にこれはどこまで行っても肌感覚だと思っています。ただ最低限、シーズン移行したら実は冬の期間、今とそんなにやる期間はそんなに変わらないんだよ、具体的に言ったら2週間延びるだけなんだよね、ということを理解できていない方々がまだまだ多いのかなと思っています。なので、正確にそういったことを考えていますよ、そうなった時には試合日程はこうなりますよ、ということも踏まえて、まず理解していただくということが絶対条件だと。
その上で理解された方々が、それでも反対だ、それだったら良いんじゃないかという、正確な土俵に立った上での回答というものがあれば、それが6対4だから、7対3だからとかということではなく、理解をされていく絶対条件だと思っていますので、正しい条件の中で、正しいステージの中で、正しい情報の中で判断することが最低限だと思っています。
補足で伝えさせていただきますと、我々クラブとしては、このシーズン移行に関して関係自治体、パートナー企業、そしてファン・サポーター等々とも話し合いをさせていただいています。自治体、パートナー企業とは、正直一定の理解を既に得られているなという感覚でクラブとして認識しております。さらにファン・サポーターというところに関しましては、クラブ独自で2回ほどこのシーズン移行に対して少しお話しをさせていただき、その後にアンケートもクラブとして独自にとらせていただいています。そのアンケートの結果を踏まえると、きっともう、そういう流れなんだな、仕方ないな、そういう流れだからついていこう、という意見も含めてですけども、それらの意見を含めても6割以上の方からは一定の理解を得られたというふうにクラブとしては思っています。
ただ、なぜじゃあ、それなのに我々は②を選んだんですか、ということに関しては、北海道コンサドーレ札幌だけの問題としては捉えていないからです。我々は以前から条件付き賛成ですよということは表明させていただいていました。先ほど言ったように、うちのサポーター等々への説明会等を受けたアンケートでは6割ぐらいの方が納得をしていただいているんじゃないかと思っています。
一方で、我々が条件付き賛成ですということを言ったことによって、降雪地域以外と思われるサポーター等々から「なぜ賛成できるんですか」っていうような問い合わせが逆に多かったっていうのが我々の感覚です。イコール、コンサドーレのファン・サポーター全員とは言いませんけども、一定の理解はあるんじゃないかと思っているけれども、東北、関東、関西、九州の方々は、皆さんそこまで(理解度が)行っていないんじゃないかなって思わざるを得ないという。おこがましいかもしれないですけども、コンサドーレとして北海道のことを考えつつ、Jリーグ全体のことを考えたときに、Jリーグ各クラブがある拠点のファン・サポーターはそこまでの理解は得られていないな、というふうに北の国からは感じたので、②という結論を出させていただいているということを合わせてお伝えいただければと思います。
―ハード面の整備の部分について。Jリーグとしても大体100億円規模で屋内練習場などもサポートしていくという話ではあるが、実際つくるとなっても不透明感もあるような気もする。その辺りはどのように受け止めているか
おっしゃる通り、まだ見えていない部分というのはあると思っています。ただ、そこの見えていない部分というのは、正直我々サッカー界の中である程度、話し合いをして解決ができることなんじゃないかと思っています。そういった意味で言うと、足りる足りないかは別にしても、例えば100億円という財源をまず確保しましたよ、ということが見えていること。その100億円という中で、韓国なんかで含めて言うと、そういったエアードームというのが10億円ぐらいの金額でつくられているということ。
そういったものが少しずつ見えてきている中で言うと、不透明感はありますけれど、乱暴な言い方をすると、それはもうサッカー界だけの中で調整もでき、解決もでき、これから深掘りもしていける話だと思っているので、それについては光が見えているな、まだ不透明感があるな、話さなければいけないな、でもこれはまだまだ話せるし、これは言ってみれば身内のこと、身内の中で話ができるんじゃないかと思っているので、それに関しては大きな不安を描くことなく現状としては考えています。
ただ繰り返しになりますけれども、サッカー界だけではない、そのサポーター、ファンの目線というものは、僕のクラブにとっては別なものだと思っていますので、そこの理解があった上での決議の方がよりスムーズに進むのではないか、より良いものになるのではないかということで、話をさせていただきました。