【年末特別インタビュー】宮西尚生~NGなしで〇×回答~㊤ ベテランは嫌? 昔はトガっていた?
日本ハムの宮西尚生投手(38)が道新スポーツデジタルの年末特別インタビューに応じた。救援一筋で839試合に登板し、歴代最多393ホールドを積み重ねてきたレジェンド左腕はどんな未来を描くのか―。「ベテラン扱い」「先発希望」「引退後の将来」など、繊細なテーマにもNGなしの○か×で回答。シリアスとユーモアを使い分けながら、本音を打ち明けた。(2回連載)
1 年を取ったと感じることがある
【○】(即答)
「まず、疲れが取れない。飛行機の移動はこれまでもしんどかったですけど、なんか重みが違うというか。若い頃は『あー、しんど』となっても、ちょっと汗を流したらスッキリする。気圧の変化によるむくみとかあるんで。パーっと抜けていたのが、今は丸一日くらいかかるよね」
―年とともにケアの仕方も変えて
「変わっている。今までは肩、肘の疲れを取るケアだったのが、今は全身(笑)。筋肉が固まるような感覚。骨が1個ずつ動かない、関節が固いような感じがする。そういうのが年を取ったと感じる原因かな」
2 ベテランと呼ばれるのは嫌
【×】(ちょっと迷って)
「今、それこそ、加藤(貴)とか…30歳を超えているもんね。28歳ぐらいだったら誰だ? 生田目とか、あのへんでしょ。あの頃から俺、報道でベテランみたいな書かれ方をされていたからね(笑)。ずっと1軍で経験してきたから、というのもあって。このチームは入れ替えが激しいから。その時期には『経験豊富なベテラン左腕』とかよく書かれていたから。俺、若い頃からずっとベテランやん(笑)。だから今は、別に何とも思わない。昔の方が嫌やったね。30前後ぐらいでベテランみたいな書かれ方をされるとね。選手寿命が短いと言われる世界。35歳を超えたら、(同級生や年上が)なかなかいないから。そういう意味では言われて不思議ではないと思うし、ここ数年は何とも思わない」
3 来年で39歳。入団時からここまでやれると思っていた
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【×】(即座に)
「入った時はもう、3年間やれたらいいかな、耐えられたらいいかなと思ったかな。入ってきた時にレベルの高さを感じた。ありがたいことに、キャンプから1軍スタートにさせてもらって。前年、優勝しているチームやったから、意識の高さ、技術の高さが違う。ピッチャーにしたら投げている球…それこそ、近くにダルビッシュがいたわけやから。1個下に。やっぱり『すごい世界やな』というのがあった。自信は全然なかったですね」
4 長く続けられている理由として、思い当たる答えがある
【○】(じっくり考えてから)
「長く投げられている理由…うんとね、2つあって。まず一つは、フォームを変えられたこと。そういう意味では出会い。コーチ、監督、トレーナーが自分に合わせてくれるというか、厳しくなく。プロの世界のコーチは厳しいんかなと思っていたら、そうじゃなく、気分良く、やりやすい環境にしてくれた。試合後でも練習に付き合ってくれて。フォームを変えることに対しても自信を持たせてくれて、我慢して使い続けてくれた。監督、コーチ、トレーナーさんとの出会いが運命的に良かった」
―2つ目は
「もう一つが、キャッチャーのおかげです。だって僕、真っすぐとスライダーしかないんですよ(笑)。コントロールが断然いいわけじゃなく、ただスライダーが良く曲がったというだけ。真っすぐだって150キロを超える球なんて放っていないし。当時、中嶋さん(現オリックス監督)が現役選手やったし、(高橋)信二さん、ツル(鶴岡)さんもそう。後輩のキャッチャーもそうやし。自分の良さを引き出してくれた。だって裏と表しかないピッチャーをこれだけ、ねえ。自分で言うのも変やけど、抑えることができたのは、キャッチャーのリードのおかげやと思っているから。そこだよね」
―自身の気持ちの強さや相手の狙いを察知する嗅覚もあるのでは
「いや、俺、適当なだけやから(笑)。それをうまいこと、リードしてくれるのはキャッチャーやったし。俺の性格を利用して、コーチ陣が指導してくれた。そこに尽きる。自分の何かが優れていたわけではない」
―入団当時は吉井コーチ(現ロッテ監督)、厚沢コーチ(現オリックス)らの指導を受けていた
「そう。その当時は、福良さん(現オリックスGM)がヘッドコーチでおって。大ベテランの中嶋さんがおって。福良さんはどっちかと言うと僕に厳しい。優しさのある厳しさやった。中嶋さんはすごく面倒を見てくれて。試合で打たれた後、メシに連れて行ってくれて。大先輩が。普通は緊張する、ルーキーやし。でもそういう緊張感を和らげてくれるから、投げやすかったし、自信を持っていけた、というのが良かったんじゃないかな」
5 若手時代は今よりトガっていたと思う
【○】(苦笑いで)
「それ野球に対して? いや…うん、トガっていた。たぶん、自分のことしか、考えていなかったから。いい意味でも悪い意味でも。だけど今は、頑張っている(笑)。丸く(笑)。やっぱりこの立場になって、厳しい雰囲気を出さなアカンところもあるやろうし。でもそこの役割は自分じゃないと認識しているから。次の世代、(松本)剛とかね。嫌われ役というのは絶対、チーム内に必要やと思う。そういう役目はもう、自分じゃない。どっちかといったら、中堅というか、チームを引っ張っていく存在たちと絡むより、意識的に本当に若い子と接するようにしている。昔、中嶋さんがそうしていたように」
―厳しく接することはないのか
「全然。そこは任せている。方向が違うなと思う時は、そうじゃないよ、ということは言わないといけない。今、引っ張っているヤツらも頑張っているし。そこに対して古いヤツが押し付けのようなことをしたら、チームは変わらないから。あまり口出しはしなくなったかな」
(㊦に続く)