札幌山の手2年連続の決勝進出ならず 岐阜女子に完敗【ウインターカップ】
■全国高校バスケットボール選手権 第5日(12月27日、東京体育館)
▽女子準決勝 岐阜女子76-46札幌山の手
相手との平均身長は5センチ以上
昨季準優勝の札幌山の手は、留学生選手を擁しスタメン平均身長で5センチ以上上回る岐阜女子に苦戦。激しいディフェンスに阻まれ生命線の3点シュートはわずか6本。本来のプレーを発揮することはできず大差で敗れ2年連続の決勝進出を逃した。
最後まで攻め貫き会場から拍手
涙のブザービーターだった。第4クオーター(Q)残り1.5秒。PG高橋優希(1年)からラストパスを受け取ったSG巻朋花主将(3年)が迷わず3点シュート。試合終了のブザーと同時にリングに吸い込まれるのを確認すると、その場に泣き崩れた。「決勝に行きたかった。最後は絶対自分が打って終わってやるって気持ちでボールをもらいに行ったし、絶対打ってやるって気持ちでやったら入った。3年間がこの試合で終わりって気持ちが込み上げてきて崩れました」。最後まで攻めを貫いた姿勢に会場から大きな拍手が送られた。
2年連続バースデー勝利ならず
巻主将にとって2年連続誕生日に迎えた準決勝。試合前練習では応援席からバースデーソングが送られ「ちょっとはずかしかった」。肩の力が抜けて試合に入ることができたはずだった。マッチアップについたのは、準々決勝の桜花学園(愛知)戦で37得点した相手のエースPG絈野夏海(3年)。ビデオを見て対策を練った。「自分たちもトップリーグでやった時は、すごいたくさん点数を取られてしまっていた。あとは留学生のところをしっかりみんなで抑えようって話はしてたんですけど、正直、抑えることができなくて、入りで10点ぐらい開いてしまった」。絈野には両チーム最多の22得点を許し、リバウンドは札幌山の手の32本に対して、186センチ留学生の18本を含む58本と太刀打ちできなかった。
「まだ逆転できるとは思ったが」
チームには焦りも出始め、無理にシュートを打つシーンが目立ち始めた。「前半の14点差ぐらいはスリーポイントが当たれば逆転できるって思ってたんですけど、3ピリで20点開いた。4ピリで十何点差だったら、まだ逆転できると思ってたんですけど、やっぱ30点まで行った時は、ちょっとさすがにやばいって思いました」。一度狂った歯車は最後まで嚙みあわなかった。
上島コーチ「40何点なんて初めてじゃないか」
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チームを長年率いてきた、上島正光コーチ(80)もため息をついた。「谷口と巻のスリーが入らないと、こういう内容の試合になってしまう。外のシュートは水物だけど、ここまで入らないってことは予想してなかった。40何点なんて、そんな低いの初めてじゃないか。得点は入れられるケースはあっても取ることができたから」。今回4強入りしたチームで留学生がいないのは札幌山の手のみ。それでも指揮官は今後も日本人選手のみで、全国で通じるチーム作りに取り組んでいく方針だ。
偉大な先輩とは違ったキャプテンシーでチームをまとめ
決勝進出こそ逃したが、夏冬連続で全国4強。巻主将にとっても大きく成長した1年だった。昨年は背番号17を背負い、準決勝は15秒の出場。決勝戦はコートにすら立てなかった。大会後、ミニバスチームの先輩だったPG森岡ほのか(19、日立ハイテク)から名門チームでの大役を受け継いだが、時に重圧を感じていた。「練習中のつらい時、試合の苦しい場面で、去年はホノさんが必ず点を取ってくれたり、ホノさんにボール渡せば絶対何かしてくれた。今年は自分でクリエイトする部分ができなくて、仲間にフリーを作ってもらってスリーポイントを打つことしかなかった。全く同じにできるとは思ってなかったので、声をかけること、ディフェンス、ルーズボール。コート外での姿勢だったりでチームを引っ張っていこうと思ってました」。偉大な先輩とは違ったキャプテンシーで1年間チームをまとめてきた。
夢は後輩へ「さらに走るバスケットを追求して」
自分たちが果たせなかった夢は後輩へ託す。「やっぱり山の手のバスケットは、まずディフェンス、リバウンド、ルーズボール。そういう部分でをもう1回見直して、自分たちよりさらに走るバスケットを追求してもらえたら」。1年生PGとして大舞台を4試合経験した高橋優希(1年)は「3年生が抜けた分、攻撃力が落ちちゃうので、自分がスリーポイントもドライブもどっちもできるようになりたいです。留学生がいても、カッティングとか山の手のボールと人が動くバスケットをしっかりやって、もっと点が取れるチームになりたい」。伝統にさらに磨きをかけ、1年後、再び東京体育館のメーンコートに帰ってくる。