日本ハム担当を離れてはや６年になる。今はデスクという立場。現場記者が送ってきた原稿から、ファイターズの「今」を知る。私が現場にいた頃に比べると、だいぶ選手は入れ替わった。３分の１も残っていない。年を取るわけだ。

　今年、ある選手の変わらぬ姿、紳士的な立ち居振る舞いを目の当たりにした。夏場。札幌市内の某所で、上沢投手にばったり会った。ナイターを控えた午前中。お子さんと一緒だった。あいさつすると、爽やかな笑顔で返してくれた。「お久しぶりですね。最近、現場に来ないですね」。現況を伝えるとともに、「うちの記者がいつもお世話になっていますね」と礼をすると、「こちらこそ、ありがとうございます」と言ってくれた。

　礼儀正さと人懐っこさは不変。心が温かくなった。ただ、精かんさは増していた。着実にキャリアを積み重ね、エースと呼ばれるまでに成長した。実に頼もしかった。

　来季、活躍の場をメジャーに移そうとしている。移籍先はまだ決まっていない。だが、人間万事塞翁が馬。いかなる結果が待っていようと、彼の今後に大いなる幸があることを強く願う。