吉田輝星の鹿児島自主トレに密着 1日のタイムスケジュールが明らかに!
鹿屋体育大で2年前から実施
来季からオリックスでプレーする吉田輝星投手(22)が2年前から、オフに鹿児島の鹿屋体育大学で自主トレを行っている。今回、記者が〝初潜入〟し、早朝から密着取材を敢行した。ハードな練習メニューや、起床から就寝までのタイムスケジュールを大公開する。
早い始動で規則正しい生活リズム
鹿児島の朝は寒い。まだ、外は真っ暗だが、吉田は白い息を吐きながら、ハイペースで黙々と足を進めた。「オフはその日によって用事が違ったりして、生活リズムが乱れがち。なので、ちゃんと早起きをして一日を始めるのに、散歩はちょうどいい。体調、体重管理のためにも、一昨年くらいからやっています。散歩前にはEAA(必須アミノ酸)と脂肪燃焼系のサプリ、ブラックコーヒーを飲んでいます。前は1時間以上歩くことも多かったですが、最近は3、40分ぐらいですね」
朝食はすべて手作り 豊富な品揃え
ホテルに戻ると、部屋に備え付けられたキッチンを使って、手際良く朝食を作る。「散歩から帰ってきたら、そのまま料理です。毎朝、自分で作っています。きょうは卵を3つ使ったスクランブルエッグ。アボカドも混ぜて。それにマヨネーズをかけたものが1品目で、2品目が焼き鮭。3品目はゆでたブロッコリー。あとはキノコと牛肉ともやしの塩こしょう炒めです。野菜を取るように心がけています。僕、焼く順番も、フライパンが汚れないように考えてますよ。まずはブロッコリーをゆでるところから始めて、ゆで汁を捨てたら卵を焼いて、オリーブオイルをひいて鮭を焼いて、最後に肉を焼いて終了です。効率良く料理できるようになりました」
ウエートトレで本格スタート
〝輝星理論〟で限界突破! 記者は早々にギブアップ
この日は、下半身の強化が中心。最初のスクワットから目を疑うような重さにセットされたが、「やってやるよ」「うりゃー」などと叫び声を上げ、顔をしかめながら何度も持ち上げた。メニューはあらかじめ決められているが、その場で自分の体の状態や疲労度を見極め、臨機応変に重量や回数を設定する。
「10キロ、20キロは誤差や。220も240も四捨五入したら一緒や」などと〝輝星理論〟を展開し、ほぼすべてのメニューで予定より重く変更した。「こうやって、自分をだまし続けるんです」と、限界に挑む姿には気迫を感じた。「一回、やってみてください」と体験を勧められ、記者もスクワットに挑戦したが、膝を曲げるどころか、バーを担ぐことすらできなかった。主なメニューは以下の通り。
豊富で過酷なメニューを公開
・スクワット 180キロ3回2セット、200キロ1回
・デッドリフト 180キロ3回、190キロ3回2セット
・ヒップスラスト 220キロ5回、230キロ3回、260キロ5回
・スクワット(足を伸ばしきらず、低い体勢のまま負荷が大きくかかるところで繰り返す) 140キロ15回、120キロ15回
・デッドリフト(同) 100キロ15回2セット
・ブルガリアンスクワット 100キロ15回2セット
・サイドランジ 100キロ15回2セット
・レッドコード
常識にとらわれず試行錯誤 「価値観が違うトレーニングをしないと」
「きょうは全部のメニュー、過去最高の重量でした。今、代償がえぐいです。マジで力が入らない。投げるスタイルが、他の人よりも低いので、そこは他の人と価値観が違うトレーニングをしないといけないかなと思っています。なので、スクワットも低くやることを意識して、低いポジションでやるメニューも取り入れています。僕がちょっと研究していることなんですけど、僕は良くない時は(投球時に軸足の)膝がつぶれるんですよ。(一般的に良くないと言われるが)たとえ膝がつぶれても、力が入るなら問題ないんじゃないかなとも思う。とんでもなく低いところでウエートをしておけば、膝がつぶれても実はそこで力が発揮できちゃうんじゃないかなっていう可能性も考えて、低い位置で。もちろん、体の使い方を練習するメニューでは、膝がつぶれないようにする動きもやるんですけど、つぶれても投げられるぐらい強くなりたい」
間髪入れずにランメニューへ とにかく自分をいじめ抜く
ウエートで筋肉を徹底的にいじめた後は、ランメニューをこなした。400メートルなどを繰り返す日もあるが、この日は10、20メートルといった距離で俊敏性や瞬発力の向上を目指した。連日のハードな追い込みで疲労はピーク。それでも1本1本、丁寧に走る姿が印象的だった。主なメニューは以下の通り。
・20メートルダッシュ 7本
・10メートルダッシュ 15本
・T字走 2本(ダッシュとサイドステップ)
・方向転換ダッシュ3種類 6本
・立ち3段飛び
・タックジャンプ
・ブルガリアンスクワットジャンプ
・横向き片足ジャンプ
・ボックスジャンプ
すべてで正しい姿勢を意識
「きょうはスプリント系でしたけど、どんなランニングでも常に走り方を気にしています。何事にも正しい姿勢がある。歩き方、立ち方、どの動きもちゃんとできるように考えています。そこを気にすることで、投球にも影響してくると思う。サイドステップとか、ジャンプ系は瞬発力を高める狙いもあるし、そういう動きが遅くなるのは、力の入れ方が悪いのもありますけど、たぶん自分の変なクセが出ている。そういうのもしっかり見つめ直したい」