【独占手記】吉田輝星が5年間の苦悩を激白 「心が重めでした」
ファイターズでのプロ生活 そして未来へ 語り尽くした胸の内
日本ハムからオリックスへ移籍した吉田輝星投手(22)が、道新スポーツデジタルに独占手記を寄せた。5年間、結果が出ずに悩み抜いた日々を振り返りながら、当時の心境を激白。応援してくれたファンへの感謝や、新天地での意気込み語り尽くした。
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開口一番にファンへ感謝 「すごく助けになりました」
まずはじめに、ファイターズファンの皆さん、5年間、応援ありがとうございました。思うような活躍をすることはできませんでしたが、いつも優しい声援を送ってくれたこと、心に残っています。3ボールになった時の拍手には、すごい勇気をもらいました。「よし、ここからもう一回、頑張ろう」と思えて、すごく助けになりました。子供が自分のユニホームを着てくれていたり、喜んでくれていた時は、めっちゃうれしかったです。
僕は自分がマウンドに上がる時、集中していてあまり歓声が聞こえていないんですが、プロ初登板の時の応援は、その隙間を縫ってでも、「ウォー」と入ってくるほどでした。他の登板でも、周りの人たちから「おまえがマウンドに上がる時だけ、歓声がすごくない?」と言われたことがあります。僕、すごく応援してもらったのかなと考えると、うれしいことですし、本当に感謝しています。
心躍るビジョンを描かせた栗山監督
日本ハムでは2人の監督の下でプレーしました。栗山監督はすごい熱くて、ダメなことはダメと言ってくれますし、直接、言葉で選手を鼓舞してくれる人でした。初勝利した時には、「輝星、どうだった?」と聞かれて、「最高に気持ち良かったです」と答えたら、「おまえは、これからもっと、この景色をいっぱい見るんだぞ」と言われて。それを想像したら、すごい楽しそうで。そういうワクワクするビジョンを僕に想像させてくれる監督でした。ドラフトで指名された時、栗山監督が持ってきてくれたメッセージ付きの「論語と算盤」は大切に持っています。5回ぐらい読んだんですけど、いまだに理解はできていないです(笑)。
自信を植え付けた新庄監督
ボス(新庄監督)は選手を乗せるのがうまい。「やれんのか、やれんだろ」みたいな感じで、「はい」と言うと、なぜかやれると思えてくる。そういうことを言われまくって、一昨年は過信と言われてもおかしくないくらい自信を持っている状況でした。「ストレート以外、いる?」という感じで言われて、本当にストレートばかり投げている時が防御率1点台だったので、ボスの言葉がプラスに働いていたんだと思います。ボスは会うたびに思っていることを僕に伝えてくれるので、ありがたかったです。
プロでの5シーズン 大きな負傷なし
2人の監督以外にも、たくさんの人にお世話になった5年間でした。基本、先輩には全員お世話になっていたかな。高卒で入団して、先輩といることが多かったので、おごってもらってばっかり。「どっか行くぞ」と言われて「はい、行きます」みたいな感じ。そういう意味でも、先輩全員にお礼を言いたいです。あとは5年間、ほぼけがなしで、ぶっ通しでプレーすることができたので、トレーナーさんにもすごい感謝しています。
寝ても覚めても野球…「ささいなことでいらついたり」
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今だから話しますが、この5年間は基本的に心が重めでした。私生活に野球のことを持ち込み始めて、ささいなことでいらついたり、心が狭くなったり。例えば、人が水をこぼしたら、「何でここで水をこぼすんや」とストレスがたまってくる(笑)。口には出さないですけど、心の中で思っていました。野球のことしか見えなくなって。どんどんどんどん、深く穴を掘りだす。そんな感じです。
野球のことを考えている時間が長いのは、いいこと。これからどう練習していくとか、計画する時間は大切だと思います。でも、いろいろ考え過ぎてしまって、頭でっかちになりすぎた年がいっぱいあったと思うんです。考え込み始めたら、僕は頭がパンクする。あまり、考えて動くタイプじゃないんです。
充実の22年シーズン 「自分らしい生き方をしていた」
51試合に登板できた一昨年は唯一、何も考えていなかった年かも。自分は感覚派なのかな、というのは、そこで感じました。ずっと1軍にいたというのもありますけど、心が軽かったかもしれない。自分らしい生き方をしていた1年間。やっぱり(藤川)球児さんに「大きく変わらないといけないよ」と言われて、ごそっと変えて、そのことだけを意識したから良かったのかな。常に1つだけを意識していたら、帰る場所が常に一緒。そう考えると、すごい楽なんです。
注視すべきは腕の振り 心がける〝浅慮〟
あと考えるのは、自分が気持ち良く腕が振れているかだけ。結果、それが球速とか、バッターの反応とか、コントロールとかに表れる。いい球がいっているけど、なんかフォームのここが詰まっているかなとか、そういうことを考え始めたら、僕はダメなんだなと思いました。例えばゴルフでも、最初は何も考えないから、ちょっとできた。だって初めてコースを回った時のスコア、111ですよ。打ちっぱなしに1回行っただけで。でも、いろいろ知識を得たから、今は伸びない(笑)。
すべてが血となり肉となる 勝ち得た教訓
ただ、今までいろいろなことを考えて、悩んで悩んで悩み抜いたことは決して無駄ではないと思っています。昨年の序盤は調子が全然、上がらなかったんですが、考え抜いた結果、結局これだな、みたいなシンプルなものにたどり着けた。考えていなかったら、1軍に行くまでに状態が回復するなんてあり得なかったかもしれない。この経験は野球にも、これからの人生にも、絶対に教訓になると思います。
感銘を受けた大渕スカウト部長の言葉
トレードが決まって、いろいろな人にあいさつをしました。大渕さん(GM補佐兼スカウト部長)から、「日本を動かせるくらいの影響力を持つ人間だと思っているから」と話してもらったことは、すごく印象に残っています。ふわーっと想像したら、すごいかっこいいなと思って。将来はそういう人に、なっていきたいなと強く思いました。
目指すは日本ハムの好敵手 万波&野村に宣戦布告
ファイターズに恩を返すためには、ファイターズに勝つしかない。ファイターズを苦しめられる投手になるしかない。他の球団を相手に成績を残すことも大事ですけど、直接的にファイターズの選手を抑えたら、それで恩を返せているのかは分からないですけど、成長を目の前で見せられる。ファイターズ戦は相当、気合を入れていきたいと思います。意識するな、というのが無理なので。特に、マンチュー(万波)とジェイ(野村)を抑えたら、うれしいですし、打たれたら一番悔しい。絶対に抑えます。
オリックスには好印象 ニックネームも希望
今年からオリックス・バファローズでプレーします。よろしくお願いします。オリックスは強いチームですし、すごい面白いことを常に企画しているイメージがあります。ニックネームのユニホームで試合をしたり、「オリ姫デー」の企画で、選手がアイドルになったり(笑)。もちろん、野球で活躍することが大前提ですが、僕も自分のキャラを確立して、いろいろな企画に登場できたらいいなと思います。
早く僕のことを覚えてもらって、応援してもらいたい。愛称で呼ばれるのもいいですね。その人の名前に全く関係ない呼び方もあるじゃないですか。そういうニックネームが生まれたら、親しみやすいですよね。柳田さんのギータ、杉本さんはラオウ。覚えやすいですし、野球をやっている人以外にも知ってもらえそう。
多くの視線が吉田輝星を強くする 「たくさん見に来てください」
そのためにもまずは、野球で結果を残します。京セラドームでたくさん投げられるように頑張ります。僕は見られれば、見られるほど、「よっしゃ、頑張ろう」となるので、オリックスファンの皆さん、たくさん僕を見に来てください。
(オリックス・バファローズ投手)
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