19大会ぶり全国1勝! 北海GK小野寺信が自身初PK戦で殊勲のシュートストップ【全国高校サッカー選手権】
■第102回全国高校サッカー選手権大会1回戦 北海1(PK戦6-5)1大手前高松(12月29日、千葉・ゼットエーオリプリスタジアム)
第83回大会以来の勝利 次戦は初出場・名古屋と
守護神のPKストップで母校を19大会ぶりの勝利に導いた! 3年連続13度目出場の北海は香川県代表の大手前高松と対戦。前半10分に先制を許して追いかける展開を強いられたが、後半6分にWエースの一人であるFW野村光希(3年)が自ら得たPKをきっちりと決めて同点に追い付くと、勝負の行方はPK戦へ。GK小野寺信(3年)が相手6人目のシュートをストップし、北海にとって第83回大会以来となる全国での勝利をつかみ取った。北海は31日の2回戦(ゼットエーオリプリスタジアム、12時5分キックオフ)で初出場の名古屋(愛知)と対戦する。
「ボールに反応することを意識した」
北海の6人目のキッカーを務めたMF成澤晏士(3年)がゴールポストに当てながらもシュートをゴールへとねじ込み、全員成功のまま迎えた後攻、大手前高松の6人目。「(PKの)練習は結構やってきていたので、相手を見て、できるだけ動かずに、しっかりボールに反応することを意識していました。自分の思った方向を信じて、思い切って飛べたかなと思います」と語る小野寺が、ゴール左下へのシュートに反応し、見事にはね返して見せた。「去年、一昨年と、自分の目の前で先輩たちが悔し涙を流してきて、先輩たちのその気持ちもしっかり背負って全国で勝てた。全国で勝つというのも自分たちの一つの目標だったので、すごくうれしいです」と満面の笑みを見せた。
仲間が走ってきて勝利確信
PKストップの後は仲間たちと歓喜の輪をつくり、劇的な勝利を喜び合った。「(シュートを止めた)瞬間はあんまり実感はなかったんですけど、仲間が走って駆け寄って来てくれたので『勝ったんだな』って。すごくうれしかった」と殊勲の場面を振り返った。
昨年はPK戦直前に交代
この記事は有料会員限定です。
登録すると続きをお読みいただけます。
小野寺は昨年も全国大会に出場し、1回戦の国見(長崎)戦で先発出場。しかし、PK戦を目前とした後半40分に当時3年生だった葉原慶太さん(19)との途中交代でピッチを後に。小野寺にとってはこの試合が高校生活で初めてのPK戦だった。あまりPKは得意ではないと語る中で、経験したことのない極限の戦いへと臨んだが、「緊張はあまり感じず、思い切ってできたのかなって。すごく応援が聞こえてきて、みんなが応援してくれるから、最後自分が止めて勝たせたいという思いが強くありました」と、スタンドを黄色く染めた応援団の大声援を力に変えて、母校に歓喜をもたらすことができた。
黄色のダルマにようやく目入れ
5年越しの宿願をようやく果たすことができた。19年に行われた第98回大会への出場を決めた際、チームを率いる島谷制勝監督(54)は川崎大師でチームカラーである黄色いダルマを購入。勝てば右目を入れる運びとなっていたが、同大会、そして一昨年、昨年とあと一歩のところで勝利を逃してしまい、なかなか実現できなかった。そして購入から5年目となった今回、「それに固執しちゃったらダメだなと思って」と、ダルマを宿舎に置いてきて〝ベンチ外〟にするという荒療治を敢行。それが功を奏したのかは分からないが、ようやく右目を入れる日を迎えたことで、「今日帰ったら、みんなでダルマの目を入れます」と指揮官は笑顔を見せた。
創部100年と65年の戦い
次戦の相手は、強豪・日章学園(宮崎)をPK戦の末に下して勢いに乗る名古屋。初出場ではあるが、学校創立136年、サッカー部は創部65年目だ。学校創立138年、そしてサッカー部創部100周年を迎えた北海との一戦は、伝統のある高校同士の対決となる。前回勝利した第83回大会以来となる2勝目が懸かる一戦に向け、小野寺は「守備はしっかり無失点で終えたい。今日は失点してしまっているので、守備の部分をしっかりと改善して、ゼロで抑えて、次も勝ち上がっていきたい」と意気込んだ。創部100周年のメモリアルイヤーに快進撃を誓う北海イレブンが、高みを目指して次なる戦いへと挑む。
■後半6分に同点ゴールをPKで決めた北海FW野村光希(3年)
「練習から自分が蹴りたいと言っていますし、先生(島谷監督)も自分に任せてくれたので、自分が蹴りました。(PK獲得は)ゴールを狙えば相手も来るので、相手が来たところの逆を狙って、ファウルをもらうというのはプリンスリーグを通してやってきた」