夏季スポーツ
2024/01/07 05:00

【Re:START】後編 陸上十種競技の日本記録保持者・右代啓祐がパリ五輪に再照準 復活の鍵はリズムトレとボブスレー

パリ五輪出場へ様々な取り組みに挑戦し、過去の自分超えを目指す右代啓祐(撮影・中村真大)

新たな取り組みと今後の道のりとは

 十種競技の日本記録保持者でロンドン、リオ五輪に出場した右代啓祐(37、国士舘クラブ)が、今年開催のパリ五輪出場に照準を合わせた。道新スポーツデジタルでは右代の特集を「Re:START」と題し、前後編で掲載。後編はこれまで取り組んできた肉体改造とリズムトレ―ニングやボブスレーを取り入れた練習、パリまでの今後の道のりについて。

体脂肪3%維持は間違いだった

 右代を中心とした味の素の「ビクトリープロジェクト」が22年4月に始まり、ディレクターの栗原秀文氏(47)が最初に始めたのはコンディショニングの見直しだった。それまで食事面は自らの知識の中で調整し、常に体脂肪3%を心掛けて大会に出場していた。真面目な性格から、ストイックにそれを徹底してきたが、食に対する専門家の常識は違った。

「車はスポーツカーだけどガソリンが無い状態」

 十種競技はただでさえ極限まで体力を消耗するスポーツ。大会は2日間に渡り、高いパフォーマンスを維持するには体脂肪率3%を維持した体ではスタミナが十分ではなかった。特に体のエネルギーを生み出す糖質が足りず、栗原氏からは「車はスポーツカーだけど、ガソリンが無い状態。体をきちんと動かすためには十分なガソリンを入れなさい」と指摘された。

23年10月28日、地元の江別市で行われた子供向けのイベントに参加し、体を動かすコツを教える右代

 

糖質の摂取を増やし 普段は好きなものも存分に

 それから右代は食事の量を増やし、糖質となる炭水化物を多く摂るようにした。トレーニングはその分しっかりと行い、エネルギーを最大限使い切るというサイクルに立ち返った。通常の練習と肉体を強化する期間のコンディショニングを分け、普段は罪悪感のあった好きなものも存分に食べた。

2、3キロ増も最大限の出力を発揮できる体験

 「ガソリンを入れたら、その分、車体の重さも増える」。平均の体重は1年で2、3キロ増えて96、7キロほどになったが、その後の記録会で出力を一気に発揮できる実体験をしてからは糖質を摂る事への恐怖心はなくなった。毎年5、6回は患っていた風邪もひかなくなり、大会後の回復も早くなった。今では体脂肪6%ほどを維持して大会に臨み、少し重くなった体を最大限使えるように調整を続けている。

リズム良く体を動かすためにはヒップホップの裏拍が重要に

関連記事一覧を見る

あわせて読みたい