ファイターズ
2024/01/10 19:00

《ハム番24時》1月10日

 弟子たちの顔色が変わる瞬間を見逃さなかった。チーム宮西の自主トレ公開日。タイム設定付きの100メートルダッシュ15本が終わり、一息つこうとしていたとき、師匠が笑顔で何かを伝えていた。特命を授かった堀と山本晃が殺気をまとい、報道陣のもとに歩み寄ってきた。いきなり「じゃんけん、お願いします!」と頼まれた。

 何のことやら、分からないが、協力させてもらった。報道陣8人プラス球団スタッフ1人が相手。記者が勝つと、堀は尋常ではないほど悔しがり、5勝4敗で終えた。今年から参加している山本晃は勝負弱さを露呈。出だしでつまずくと、負のスパイラルに陥り、9連敗を喫した。確率512分の1の逆ミラクルを起こしてみせた。

 明らかに、普通のじゃんけんのテンションではなかった。2人は鬼気迫る表情を浮かべ、緊迫した場面で失点したかのように、落胆した。1敗ごとにダッシュ1本追加。最後の9戦目のみ、負ければ2本追加のペナルティーが課せられていた。山本晃は10本追加で、累計25本のダッシュをこなした。

 洗礼を浴びた山本晃は「体、ヤバイっス。5本(追加)ぐらいは想定していたんですけど…マジでしんどかったです」とげんなり。宮西は「全部出し切るというのは、自分との戦いやと思うから。しんどい時がシーズンに何回かある。精神的なつらさもこういう練習で乗り越えられると思う」と意図を明かした。科学的な根拠に基づく練習法が確立されている時代だが、根性トレーニングもあえて大事にする。プロ生活17年目。通算839試合に登板してきた男の言葉には、説得力があった。

苦悶の表情を見せる堀(左)と山本晃

 

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