年男・矢沢宏太が目標とするのは「寅威さんみたいな良い人」 二刀流ならではの〝けがの功名〟あり
昨年11月に手術も順調回復 合同トレ行う新人たちの横で強めのボール
新人合同自主トレが熱を帯びる横で、昨季のドラフト1位が力強いボールを投げていた。日本ハムの矢沢宏太投手兼外野手(23)が10日、鎌ケ谷で自主トレを行い、強めのキャッチボールなどで汗を流した。昨年11月に手術を行った右手は、順調に回復。前日9日からは室内でのマシン打撃を再開し、この日もスイングを繰り返した。
「右手だったので、打撃はまだちょっと違和感がありますけど、慣れるまで時間の問題かなと思います。遅いマシンを打ち始めたので、ここからもう少し速いマシンを打って、その後に投手が投げる球を打って、何回も打っていくという感じです」
「良い年にしたい。尊敬される人になりたい」
2000年生まれのミレニアム世代。辰(たつ)年の24年は年男だ。「良い年にしたいですね。後輩もできたので、尊敬される人になりたいです」と人間的な成長にも目を向け、理想となる人物の名前を挙げた。
「(伏見)寅威さんみたいな。誰が見ても、良い人じゃないですか。あんな感じになりたいですね」
プロ初安打で贈り物、極上の食事会、優しい先輩の気遣い
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ルーキーだった昨年、プロ初安打を放った際に、伏見からルイ・ヴィトンの高級スニーカーをプレゼントしてもらった。「伏見さんはちょっとしたものって言うんですけど、ブランドもので全然ちょっとしたものじゃなかった。遠征中にはご飯に連れて行ってもらったんですけど、おいしすぎて、今まで食べていたご飯じゃ満足できなくなっちゃいそうでした(笑)。年は離れているんですけど、離れている感じがしないぐらい気さくで、野球の話もプライベートも話せて、良くしてもらいました」と、先輩の優しさに感銘を受けた。
将来は自身も伏見のような大きな男になり、もらった恩を後輩たちへ還元していくつもりだ。「まだ、今はそんな余裕がない。プレゼントとか、そういうことができるぐらい、まずは自分が頑張って、いつかしてみたいです」と笑顔を見せた。
明治神宮で厄払い
24歳になる今年は、厄年でもある。母・香さんの勧めもあり、1月2日に明治神宮で厄払いを済ませた。年末年始はトレーニングを続けながら実家でリラックスした時間を過ごし、学生時代にお世話になった人たちにあいさつをして回った。「1年間、あまりどこも行かなかったので、このタイミングでいろんな人と会って、いろんな話をして、良い機会になりました」と鋭気を養った。
右手負傷で打撃練習に制限 おかげで投球に集中
プロ2年目に向けた準備を進める中で、二刀流左腕ならではの〝けがの功名〟があった。右手を負傷した影響で、打撃練習に制限がかかった11、12月を有効利用し、投球練習に集中することができた。「打撃があまりできなかったので、より投手の方を優先して練習しました。時間を結構使えたので、投げる方はいい感じにできている」。昨季のシーズン中は野手の比重が大きく「野手メインでやるのは僕の野球人生で初めてでした。その中で、投手の準備をする難しさも感じましたね」と壁にぶつかった。キャンプ前に〝投手・矢沢〟を強化できたメリットは大きい。
野手として必要とされれば登板機会も増える
それでも、現状では〝野手・矢沢〟がより期待されていることも理解している。2月中旬の実戦で打席に立つことを想定し、「まずは野手で必要とされる。そこが第一だと思う。そこをクリアできれば、登板機会も増えてくると思うので、まずは野手としてしっかり活躍できるようにやっていきたい」と力を込めた。
辰年の辰とは龍のこと。天に昇る龍が如く、頭角を現す一年にしてみせる。