冬季スポーツ
2024/01/12 20:00

高梨沙羅 地元で2季ぶりのW杯勝利狙う ジャンプ女子W杯札幌大会

公式練習を終え、取材に応じる高梨沙羅(撮影・小松巧)

13日にジャンプW杯国内初戦

 ノルディックスキー・ジャンプ女子W杯の国内4連戦の初戦となる札幌大会が、1月13日に札幌・大倉山ジャンプ競技場で開幕する。12日は予選が行われる予定だったが、一部の国の用具が届かないアクシデントがあった影響で延期になり公式練習のみが行われた。日本勢は12人が出場。昨季W杯未勝利に終わった高梨沙羅(27、クラレ)は今季もここまで6位が最高。元世界女王が地元で2季ぶりの頂点を目指す。

1本目に出場選手中2番手の131.5メートル

 この日行われた3本の公式トレーニングは、飛型点の計測がなく飛距離だけ。その中で、高梨は1本目に出場選手中2番手の131.5メートルのビッグジャンプを披露した。「1本目はアプローチ部分を意識しながら飛んでました。スタートで乗り遅れないように、しっかり自分のポジションに、いち早く落としてこれるようにって意識で飛んでみました。風も良かったし、飛距離を伸ばせたのは当たり前っちゃ当たり前だったのかな。自分の中でも3本の中でいうと1個目が一番良かったかな」と表情は明るかった。

 今季は、試行錯誤のシーズンを送っている。「3本とも違うところを意識しながら飛んでみたんですけど、最後のはちょっと違う、的外れだったかな。1本目と2本目は今できる限りのことはできた。今年はずっといろんなことを試しながら飛んでいる。なかなか、いい形ができたとしても、点でしかないので流れがついてこない。ただ、自分の中でも形は早く作っていかなきゃいけないので、やるべきことに集中して、その中で流れができてたら」と理想を追い求める。

公式練習1本目に131.5メートルを飛んだ高梨沙羅(撮影・西川薫)

 

元土屋ホームのヤンネ・バータイネンコーチと契約

 同い年でジャンプ週間で3度目の総合優勝を果たした小林陵侑(27、チームROY)、中村直幹(27、フライングラボラトリー)と昨オフに合同合宿を行うなど、所属の壁を乗り越えて切磋琢磨(せっさたくま)している。そして小林のコーチで、元土屋ホームのヤンネ・バータイネンコーチと契約した。「ヤンネからは、テークオフ部分でちょっと動きが急激だって言われたので、それをもうちょっと長く踏めるように。日本語に直すと変な感じになるんですけど『スイングを意識しながら、長く踏む感じ』」と、踏み切り部分での動作の助言を受けている。

公式練習で2本目を飛ぶ高梨沙羅(撮影・小松巧)

 

22年3月以来のW杯64勝目を狙う

 高梨がW杯で最後に勝利したのは22年3月のノルウェー・オスロ大会。札幌での勝利は16年1月まで遡る。「応援してくださる方々に一番見てもらえるのは、札幌大会と蔵王大会だと思う。今、地震の影響で試合自体できることがありがたいことですし、飛ばさせてもらえる、練習させてもらえることを身に染みて幸せに感じる。自分が今何ができるかって言ったら、やっぱり飛ぶことで見てくれている人に元気を与えられるようなパフォーマンスをすること」。W杯男女最多の63勝を誇る高梨が、慣れ親しんだジャンプ台から復活のストーリーを紡ぎだす。


■2本目ではただ1人、130メートルを飛んだ種目別個人総合3位の伊藤有希(29、土屋ホーム)
「昨日の練習が全然ダメだった。昨日よりは感覚で飛べた。きょうきっかけがつかめたので、テークオフ以降に繋げていければ」

伊藤は開幕戦で初勝利するなど、種目別個人総合で日本勢最高の3位につける(撮影・西川薫)


■最年少出場の佐藤柚月(札幌日大高2年)は1本目に119メートル
「きょうの1本目は感じのいいジャンプができたので、明日の予選でも1本目に頑張りたい。去年は予選を通過することができなくて、すごく悔しかったので、今年は絶対に予選を通過ずるぞって思いで飛んでいます」

昨年に続いて、日本勢最年少出場16歳の佐藤柚月(撮影・西川薫)

 

関連記事一覧を見る

あわせて読みたい