【ジャンプ女子W杯】高梨沙羅と外国人選手の友情物語 ライバル・プレブツにスキー板貸す
■ノルディックスキー・ジャンプ女子W杯
▽個人第9戦(1月13日、札幌・大倉山ジャンプ競技場)
今季自己最高の4位
予選を通過した日本勢9人ら40人が本戦に出場。上川町出身の高梨沙羅(27、クラレ)は、今季自己最高の4位に食い込んだ。種目別個人総合3位につける下川町出身の伊藤有希(29、土屋ホーム)は5位。初出場の岩崎里胡(下川町高3年)と最年少で2年連続出場の佐藤柚月(札幌日大高2年)は初の予選通過を果たした。14日も個人第10戦が行われる。
2本目121メートルでジャンプアップ
降りしきる雪の影響で〟ホワイトアウト状態〟だったが、高梨の2本目の直前に視界が開けた。1本目112.5メートルの8位から大きく飛距離を伸ばす121メートルで一気にジャンプアップした。「昨日の反省点をしっかり生かして今日のジャンプにもつながった。納得はできてないですけど、現時点でできる限りのことはできたと思いますし、まだヤンネコーチの理想にはほど遠いジャンプをしているので、少しでもそこに近づけるようにしていきたい」と、札幌大会最終日で2季ぶりの頂点を狙う。
外国人選手10人の用具が予選までに届かず
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ライバルに塩を送った。「フルメンバーじゃない中での試合なので、やっぱりちょっと抜けてるような感じはあった」。当初、12日に行われる予定だった予選が、今季3勝で種目別個人総合首位のニカ・プレブツ(18、スロベニア)ら10人の用具が届かず13日に延期。ところが13日の予選にも間に合わず7人が欠場した。
予備の板に穴まで空け直し予選出場
プレブツも予選までに荷物の到着が間に合わなかったが、同じスキーメーカーの板を使う高梨の控室を訪ね「スキー貸してくれないか?」と打診。高梨は快諾して予備の板を提供した。さらにブーツのサイズに合うように、板にはビンディングを止める穴まで新たに空けたという。
「私が優勝した時もゴーグルを借りて飛んだ」
結果的にプレブツは高梨に借りた板で予選を6位で通過。本戦にはなんとか板が到着し、1本目首位に立つと、最終的に10位でフィニッシュした。高梨は「一緒に飛ぶ仲間だと私は思ってる。私がワールドカップに出て優勝した時も、他国の選手からゴーグルを借りて飛びましたし、みんなお互いをリスペクトしてるからこそ、困った時はできる限りのことを尽くして飛んでもらいたい。そこは各国助け合いだなと」。ジャンプ競技は風に大きく影響を受ける競技だが、それ以外では常に公平な戦いを臨んでいる。
第2戦こそ勝利の女神が微笑むはず
試行錯誤を続ける自らのジャンプも少しずつではあるが前にすすんでいる。「牛歩ではありますけど、少なくとも昨日よりはいい状態にはなってきている。明日はフルメンバーになると思うので、しっかりそこで戦っていけるように準備していきたい」。勝利より友情を最優先させた。第2戦では高梨に勝負の女神が微笑むはずだ。
■1本目9位から2本目トップの103.3ポイントで5位に浮上した下川町出身の伊藤有希(29、土屋ホーム)
「まだインパクトのあるジャンプになっていないので、もう一息だったかな。宮島選手と岩佐選手が初めてポイントを取って、トップ6に2人入ることが出来たので、日本チームに取っていいきっかけになる試合だった。あしたもチーム一丸となって飛びたい」