2年ぶり札幌復帰のGK阿波加俊太 JFL鈴鹿で精神面成長「試合に出ることだけを考えてやっていく」
【コンサドーレ沖縄キャンプ】
■1月19日、沖縄県・金武町陸上競技場
北海道コンサドーレ札幌は午前練習を実施し、パス練習や11対11などを行った。20日は11時から金武町陸上競技場で、沖縄県社会人リーグ1部のFCセリオーレと今季初の練習試合を実施する。
古巣の守護神の座をつかみ取る
JFL鈴鹿ポイントゲッターズ(現・アトレチコ鈴鹿クラブ)から完全移籍で加入し、アカデミー時代からプレーしてきた札幌に約2年ぶりに復帰したGK阿波加俊太(28)。鈴鹿での激動の日々を糧に成長を遂げた道産子GKが、古巣の守護神の座をつかみ取るべく激しいレギュラー争いに挑んでいく。
「レベルの高いところ、一概に喜びだけではない」
2022年3月の鈴鹿への完全移籍から2年。札幌のアカデミーで育った大型GKが北の大地に帰ってきた。阿波加は古巣復帰について「戻ってこられたのは非常にうれしい部分ではあります」と口にする一方で、「戻ってこられただけで、素直に喜んではいけない部分もあるのかなと思います。スゲさん(菅野)もいて、俺がいない間に高木(駿)さんも入ってきて。よりレベルの高い人たちがいるところに来たのは、試合のことだけを考えるのであればなかなか難しい。レベルの高いところだと思うので、そこは一概に喜びだけではない部分はあります」と気を引き締める。これから待ち受けるGK菅野孝憲(39)やGK高木駿(34)、GK中野小次郎(24)らとの高い次元でのレギュラー争い。「その中で、自分をもう一度レベルを上げてやっていく気持ちで戻る決断をしました」と決意を語る。
鈴鹿移籍、デビュー戦でいきなり苦悶
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出場機会を得るために決断した鈴鹿への移籍だったが、新天地でのデビュー戦となった22年4月3日の東京武蔵野ユナイテッドFC戦で、阿波加は左膝前十字靭帯断裂の大ケガを負った。全治9カ月の診断が下され、シーズンの残り試合の欠場を余儀なくされた。
翌年キャリアハイのシーズン17試合出場
だが阿波加は逆境をバネにして自分自身を成長させてみせた。翌23年3月19日のブリオベッカ浦安戦で約1年ぶりに試合復帰を果たすと、夏場からレギュラーに定着。JFL・HondaFCに期限付き移籍していた15年の15試合を上回り、キャリアハイとなるリーグ戦17試合出場を記録した。
「メンタル、試合への持って行き方はレベルアップした」
最悪のスタートから自己記録の更新まで、まさに激動と言える鈴鹿での2年間。その日々を振り返り「半年程度ですけど試合に出ることができたので、そういった中でメンタルをコントロールできたり、(シーズン)通じて試合に出ることがなかったので、試合への持って行き方は勉強になったというか、レベルアップしたんじゃないかなとは思います」と口にする。
荒野「コミュニケーションをうまく取れるようになった」
阿波加の成長を感じているのは本人だけではない。U-18の1年先輩であるMF荒野拓馬(30)は「昔はあまりしゃべらなかったけど、帰ってきてコミュニケーションをうまく取れるようになったし、周りともしゃべるようになったなという印象です」と、一回り大きくなった人間性を評価。
赤池コーチ「高い壁を乗り越えた感じ」
ルーキーイヤーから指導している赤池保幸GKコーチ(49)も「厳しい状況を乗り越えてきて、精神的にすごく安定しているなって。以前いた頃はちょっとムラがあって、それがプレーに表れたようなところがあったんですけど、鈴鹿に行って大ケガをして、それを克服して試合に出たことによって自信も付いただろうし、高い壁を乗り越えた感じがします」と、2年ぶりに接する教え子の成長を強く実感している。
「リーグ戦でもカップ戦でも、1試合でも出る」
今オフは他チームへの移籍を模索し、札幌の三上大勝代表取締役GM(52)にも相談していたが、急遽GK松原修平(31)のJ2水戸への移籍が決まったこともあって、札幌から獲得のオファーを受けることとなった。「本当に縁というか。ありがたい話だなと思いました」。今季の目標を「現実的に考えると、リーグ戦でもカップ戦でも、どちらも1試合でも(多く)出る。本当に試合に出ることだけを考えてやっていきたいと思います」と語る阿波加。立ちはだかるライバルたちの壁は高いが、逆境を乗り越えて身につけた力を発揮してその牙城を崩し、16年以来となる札幌でのリーグ戦出場を目指す。
■プロフィール 阿波加 俊太(あわか・しゅんた) 1995年2月7日生まれ、岩見沢市出身。U-15時代から札幌のアカデミーに所属し、11年には同期の深井と共にU―17日本代表でFIFAU-17ワールドカップに出場した。13年にトップチーム昇格。14年にJ3相模原、15年にJFLHondaFC、17年にJ2愛媛への期限付き移籍を経験し、22年3月にJFL鈴鹿へ完全移籍。24年から札幌に完全移籍で復帰した。Jリーグ通算6試合出場、JFL通算33試合出場。188センチ、77キロ。ポジションはGK。利き足は右。