いわきから新加入のDF家泉怜依 札幌の攻撃的サッカー身につけレギュラー争いに名乗り上げる!
【コンサドーレ沖縄キャンプ】
■1月22日、沖縄県・金武町陸上競技場
J3から3年間でJ1へステップアップ
前日をオフに充てた北海道コンサドーレ札幌は練習を再開し、22日は2部練習を実施。午前練習ではインターバル走や攻撃練習など、午後練習ではパス練習や戦術練習などを行った。今季J2いわきから完全移籍で加入したDF家泉怜依(24)は、22年のプロ入り時はJ3でプレー。3年間でカテゴリーを1つずつ駆け上ってきた苦労人が、その恵まれた肉体を武器に自身初挑戦となるJ1の舞台で大暴れしてみせる。
まるでプロレスラーと思わせる恵まれた体格
185センチ、85キロ。練習中に選手が集合する場面では、まるでプロレスラーが入り込んだのかと思わせるほど一回り大きな体で強い存在感を放っている。前所属のいわきは『日本のフィジカルスタンダードを変える』をテーマに掲げ、フィジカル向上を追求しているチーム。家泉も在籍した2年間で肉体を徹底的に鍛え上げてきた。「元々サイズはあったんですけど、筋肉というよりかは太っていて、ただ体がでかかったという感じ。いわきに入ってからは筋肉量が上がって、体重も3、4キロ上がって。体のキレの部分とかも上がったなと思います」。
ルーキーでJ3ベストイレブン
ルーキーイヤーだった22年にはJ3で33試合1得点をマークしてJ3ベストイレブンに選出されるなど、チーム参入1年目でJ3優勝&J2昇格に大きく貢献。自身・チーム共に初参戦となった23年のJ2でも39試合2得点の堂々たる成績を残してJ2残留に導くと、その能力と将来性を高く評価した札幌からオファー、プロ3年目でついにJ1の舞台まで上り詰めた。
「守備の部分では結構強く行けている」
DF陣にも攻撃のタスクが要求される札幌のサッカー。「守備の部分では結構強く行けていますが、(練習が)終盤になって疲れてくるとあまり行けなくなって、フリックとか前を向かれるシーンがあるので。守備のところでやられないのが一番だと思いますし、通用している部分もあるので、もっと強度を上げてやっていければいいかなと思っています」。
課題は攻撃面「ビルドアップを求められている」
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課題となっているのが攻撃面だ。「今までと違ってビルドアップを求められているので、ただ(ボールを)回すだけじゃなくて、他の人のプレーを見たり、全体でどこを狙うのか自分の中で整理して。攻撃の部分は全然出来ていないイメージしかないので、今はまずそこを考えながらプレーしないとなという感じです」。
「判断の部分をもっと磨かないと」
家泉は20日に行われたFCセリオーレとの練習試合にも出場したが「自分のところでテンポが出なかったり、ちょっと反応が遅くてもう1回やり直したシーンがあって。相手のレベルが上がれば一瞬遅かったりすると一気にはまったり、次の選手を見つけたときにもフリーじゃなかったりというシーンが出てくると思うので、判断の部分をもっと磨かないとなと思いました」。
悪戦苦闘の日々乗り越え、最終ラインの真ん中に立つ
初めて触れる札幌のサッカーに悪戦苦闘する日々だが、もちろんミハイロ・ペトロヴィッチ監督(66)らチーム首脳陣もそのことは織り込み済みだ。「(練習試合で)チャレンジして失点するのは別に悪くないって言われているので、ビビらずにもっと運んだり、ボールを動かしてやっていけたらなと思います」。沖縄キャンプでの練習試合はあと5試合。トライ&エラーを繰り返してレベルアップし、高い壁を乗り越えることができれば、公式戦のピッチ上に攻守両面で札幌をけん引する大型DFが姿を現すはずだ。
20日に24歳迎え、周囲から祝い
その練習試合が行われた20日は家泉の24歳の誕生日だった。「まだ(加入して)日が浅いけど、みんながおめでとうと声をかけてくれました」。この日の午前練習のウォーミングアップ中には、同じ列でハードルを跳んでいたFW鈴木武蔵(29)から「バースデーボーイ!」と声を掛けられるシーンも。「もう(誕生日が)終わってるんですけど(笑)。武蔵くんがずっと言ってくれて。うれしいっす」。それに便乗したチーム最年長のGK菅野孝憲(39)から愛あるイジリを受けて笑顔を見せるなど、順調にチームに溶け込みつつあるようだ。
鹿児島県でサッカー始め、四国-関東-東北、そして北海道
生まれは香川県だが、会社員の父親の転勤のため幼少期は四国や九州を転々とした。「最初にサッカーを始めたのが鹿児島県。そこから引っ越して香川県に行って、またそこから福岡県に。で、また香川県に戻ってという感じでした」。中学生以降は香川県に落ち着き、生まれ故郷で中学、高校を卒業。茨城県にある流通経済大に進学し、福島県のチームいわきでプロ入りを果たした。九州の最南端でスタートを切り徐々に北上していったサッカー選手が、ついに北海道へたどり着いた。「(香川県から)どんどん離れていってますね(笑)」。北の大地で長く愛されるプレーヤーとなることに期待したい。
「武器は守備とヘッド。強さを見てほしい」
「自分としてはリベロ、真ん中で勝負したいので、そこを狙っていきたいです」。ターゲットとする3バックの中央には、家泉と同様にJ3でプロキャリアをスタートさせ、同じく3年でJ1までステップアップしてきたDF岡村大八(26)が君臨。定位置をつかみ取るためには、札幌での3年間でJ1での出場数を78まで積み上げた先輩DFの牙城を崩さなければならない。「自分の武器は守備だったりヘディングだったりするので、強さを見てほしいです」。持ち前の強い盾に、日々の練習で積み上げる新たな矛を携えて、背番号15がレギュラー獲りへ旅立っていく。
■プロフィール 家泉 怜依(いえいずみ・れい) 2000年1月20日生まれ、香川県出身。太陽SC、古高松FC、小倉南FC、FC DIAMO、藤井学園寒川高校、流通経済大学と進み、22年からいわきでプレー。同年にはJ3のベストイレブンに選出された。J2・J3通算72試合出場3得点。185センチ、85キロ。ポジションはDF。利き足は右。