柿木蓮 盟友・吉田輝星と1軍での再会誓う 送別会で〝ただ一人〟泣かなかった理由とは…
勝負の年に背水の覚悟
過去の栄光は、もういらない。高卒6年目の柿木蓮投手(23)が、「もうそろそろ大阪桐蔭じゃなくて、日本ハムの柿木として認知されるようになりたい」と意気込んでいる。2018年夏の甲子園で、優勝投手になった。今は、育成契約の身だ。背水の覚悟で、勝負の年を迎えている。
力感なくキレのいい球を模索
今オフはロッテ・石川歩と合同自主トレを行い、経験豊富な右腕から多くを吸収した。
「トレーニングもですけど、投げることメインで、石川さんに教えてもらいました。いろんな発見もありましたし、新たな気づき、知識が増えたオフシーズンでした。一番、印象に残ったのは、『投げない意識』で投げること。(投球フォームを見せながら)ずーっと投げない投げない投げない投げない、投げちゃったみたいな。投げない投げない投げない、あー離れた、みたいな感じで投げる。感覚ですけど。石川さんはそれがすごいです。力感なく投げる。力感はなくしても、キレがいい球。僕は中継ぎなので、そこに自分のプラスアルファを乗せられたら」
輝星との別れ
〝再会〟を誓う男がいる。オリックスに移籍した吉田とは、甲子園の決勝で対戦し、同期で入団。以来5年間、切磋琢磨を続けてきた。
「もう、腐れ縁です。最初にトレードを聞いたときはびっくりしましたし、輝星のテンションも低かった。強がっている感じはありましたね。5年間一緒にやってきたのでもちろん寂しいですけど、僕は別にこれでお別れではないと思っています」
「泣けよ」にも動じず「全然会えるだろ」
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送別会では、同学年の野村、万波らが号泣する中ただ一人、涙を流さなかった。
「みんな泣いてましたねー。僕は、泣きたくないんですよ、悲しくなっちゃうし。確かに、僕以外は全員泣いてて、僕だけすごい気まずくて、輝星にも途中で『泣けよ』みたいな感じで言われて、いやいやいやって。僕は、そこまで最後だって思っていなかった。みんな、一生会えないみたいな空気を出していたので、『なんなんだこの雰囲気は、全然会えるだろ』って。もちろん寂しいですけど、ジェイ(野村)とかマンチュー(万波)は、泣きながら『一生会えなくなる~』みたいな感じを出していた。僕も、冷め切った目で見ていたわけではないですよ?(笑)。でも良き友であり、良きライバルであることは、どこにいても変わらないので。明けましておめでとうのメッセージも送り合って、頑張ろうなって感じなので。次に輝星と会うときには、しっかりとした姿で会いたいなと思っています」
約束の場所は、1軍のグラウンドだ。
「それが一番ですね。グラウンドで会いたいです。プライベートでだったら、いつでも会おうと思ったら会えるので。グラウンドで会えるように頑張りたいです。まずは僕が支配下になって、輝星も頑張って絶対に1軍に来ると思うので、僕も1軍に行って会えたらなと思います」
考えながらのキャッチボール
今季から米国で戦う先輩からは、〝最後のキャッチボール〟で大きな刺激をもらった。
「12月ぐらいに、上沢さんとキャッチボールをさせてもらったんです。あのレベルの人が、『キャッチボールでこんな悩むか』っていうぐらい、いろいろ悩みながら投げていた。チームのエースが、こんなに考えながらキャッチボールしているなら、僕みたいなペーペーが、『きょう良かったなー』みたいな感じで終われないなって思いましたね。間違いなく僕よりレベルが上の人が、あんなに考えてやっているなら、絶対にもっと考えることがあるはずだと思わされました」
「妥協しないでやりたい」
球団は現在の育成選手たちに期待を寄せ、意図的に支配下枠を空けている。狙うは、中継ぎ1本だ。
「もうそこ(中継ぎ)しか見ていないです。僕も育成の立場で、枠があるなとかは見てしまう。アピールするしかない。キャンプから目立ちたい。中途半端じゃなく、何でも良いので一番になれたら。キャンプでは日々、投げる数を妥協しないでやりたい。きょうは球数を投げすぎているからやめようとか、そんなんじゃなくて、しっかり感覚が出るところまでやって終わる。なあなあで終わらせずに、最後までやる。『あ、いけた、こんな感じかなー』で終わらせないように」
春季キャンプが始まる2月1日まで、残り約1週間。友と再び晴れ舞台で投げ合う日を信じ、支配下枠を懸けた熾烈なサバイバルに立ち向かう。