田中瑛斗「上沢さんの穴は、僕が埋めたい」エースの意志を継ぐ男が7年目の大飛躍へ
兄貴分の新たな挑戦を機に
日本ハム1軍キャンプ地の沖縄・名護で行われている先乗り合同自主トレに参加中の田中瑛斗投手(24)が、7年目の大飛躍を目指して腕を磨いている。今オフには慕っている上沢直之投手(29)が、ポスティングシステムを利用して大リーグ・レイズへ移籍。兄貴分の新たな挑戦を機に、自らの実力で道を切り開く覚悟だ。
独り立ちのタイミング
1年前の先乗り合同自主トレ期間中は、本隊と離れて、常に上沢と行動を共にしていた。ウオーミングアップやキャッチボールも2人で行い、その取り組みを間近で観察。時にはマンツーマンで助言を受けるなど、身近な手本から野球選手としてのあり方を学んでいた。だが頼れる存在はもう、そばにいない。
「一番、良くしてもらっていた。いろんなところでお世話になっていた。野球以外で相談していたこともあったりして。そういう人が身近にいなくなる。独り立ちのタイミングだなと。頑張ります」
年始には直接「頼むぞ。今年はやってくれ」
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まだ去就が決まっていなかった年明け早々、LINEで年始の挨拶を送ると、すぐに返事があった。「上沢さんから直接『今年は頑張ってくれよ、頼むぞ。今年はやってくれ』と言われました。そのときは(移籍するのか)分からなかったけど、こういう結果になったので。上沢さんの穴は、僕が埋めたいと思っています」と重みある言葉を受けて、決意を強めた。
沖縄入りする前は韓国の「SSTC」を訪問
1月20日にはチームメートの山本拓らと一緒に韓国へ渡り、動作解析の専門施設「SSTC」を訪問。投球フォームの改良ポイントを徹底的に洗い出した。「左足が地面についた時に右の股関節が開いてしまうので、地面からもらう力が逃げて、半分以下になっていた。ドリル的な種目がいっぱいあって細かく教えてもらえたので良かったです」。帰国後は理想的な動作を体に覚え込ませるため、何種にも及ぶトレーニングを繰り返している。
「ちょっとずつ追い付きたい」
学んだ知識を生かせば、ピッチングは進化する。パワーアップした姿で、大きな空白を埋めてみせる。昨季の上沢は、リーグ最多の投球回を記録。田中瑛は「いろんな選手が入ってきていますけど、あの人の170イニングはなかなか埋められない。僕がなるべく多く投げて、少しでも足しになれば。ちょっとずつ追い付きたいなと思っています」。エースの意志を継ぐ男が、ドラマチックな未来を描く。